公募研究
平成24年度の共役イミン誘導体による新しい反応性を探索する研究過程で、天然ポリアミンとアクロレインから生成する共役イミンが[4+4]環化反応が起こすことを見出した。そこで平成25年度では、本反応がポリアミンの機能に関連して、生体内で担う役割について検討した。すなわち、(1)ポリアミンとアクロレインから得られる共役イミン[4+4]環化の誘導体の合成、(2)酸化ストレスへの影響、および(3)NMRによる酵素反応を検証した結果、細胞増殖に顕著に携わっているポリアミンと、ポリアミンから酸化酵素により代謝されて生じるアクロレインとの間でも本反応が進行していることを突き止めた。カラムクロマトグラフィーやHPLC等で精製すると化合物が分解するが、反応溶液をそのまま、あるいは濃縮してNMRを測定すると生成物を確認することができた。これがこれまでにこの反応と生成物が検出できていなかった理由である。この際に生成する8員環は、生体内では毒性のアクロレインを効率的に中和する。一方、生体内での制御機構が破綻すると、ポリアミンが細胞から追い出され、そこで血清内のアミン酸化酵素によって大量のアクロレインが生じる。これは速やかに[4+4]重合反応を起こし、ヒドロゲル状の8員環のポリマーを与えることが判明した。カチオン性であるハイドロゲルは、直ちに細胞に接着して、数分の間に細胞を殺傷した。このように、報告者が見出した共役イミンの[4+4]反応が生体内でも起こっており、癌や動脈硬化症に代表される様々な疾患を引き起こすという、全く新規な酸化ストレス仮説を提唱することができた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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