研究実績の概要 |
本研究では、LOF-MetEの結合がどの様な生理的意義を持っているのか、その経路を明らかにするため、以下の4つの課題について研究を実施している。 1, 翻訳後修飾の解析: MetE自身が翻訳後修飾され、その生理活性を制御している事が考えられたため、MetEに対して作製した抗体を用いて、二次元電気泳動法によるMetEのスポット変化を経時的に解析した。しかし、発現量や発現パターンに顕著な日周変動は見られず、今後リン酸化抗体を用いた再検討が必要と考えている。 2, LOF-MetEの結合部位の特定: In vitroにおけるLOF-MetEの結合実験を精査した結果、LOFの結合によりMetEのSDS-PAGE上での移動度が変化する事が確認出来た。そのため、各バンドを切り出し、酵素消化後のフラグメントパターンを質量分析したところ、あるアミノ酸を含むフラグメントのみ質量に変化が見られた。そこでそのアミノ酸を含む複数のアミノ酸を点突然変異させ、結合能の変化を解析したが、LOF-MetEの結合に変化は見られなかった。この事は、LOF-MetEが特定のアミノ酸に特異的に結合しているのではなく、複数のアミノ酸が結合に関与している事を示している。CMP法は弱い結合を検出出来る実験系として開発された事から、今回のLOF-MetEの結合状態を明らかにすることで、CMP法の有用性に言及できるものと考えている。現在は、複数箇所に変異を持つMetEを準備し、その結合性を評価しようとしている。 3-4, LOF-MetEの結合に関与する因子と、就眠運動に関与する因子については、まずいくつかの関与すると考えられる候補をあげ、それらについてin vitroでの検証を繰り返しているが、明瞭な関連性を示すものは無く、候補の絞り込みを行っている。
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