研究概要 |
本研究では、LOF-MetEの結合がどの様な生理的意義を持っているのか、その経路を明らかにするため、以下の課題について研究を実施した。 1, 翻訳後修飾の解析: LOF-MetEの結合がMetEの存在量や生理活性に影響を与えるのではないかと考え、初年度にはMetEに対して作製した抗体を用いて、MetEの存在量変化などを検出した。本年度は、二次元電気泳動およびリン酸化抗体を用いて、翻訳後修飾、特にリン酸化制御の有無について解析した。その結果、二次元電気泳動で複数のスポットが観察された。これまでマメ科植物では2種のMetEの存在が知られているが、今回の結果からMetEは翻訳後修飾、特にリン酸化されている事が示唆された。 2, LOF-MetEの結合部位の特定: 初年度には質量分析の技術により結合部位を決定することを試みた。その結果、特定のフラグメントが検出される事が無かった。しかし、候補となる部位が特定出来たため、本年度はアミノ酸突然変異の手法により、関与するアミノ酸を類似するアミノ酸やアラニンに置換し結合の変化を調べた。その結果、MetEの酵素活性中心付近に存在する複数のシステインがLOF-MetEの結合に関与する事が明らかになった。 3-4, LOF-MetEの結合に関与する因子の探索では、酵母two-hybrid system を用いて14-3-3タンパク質とMetEとの結合に付いて調べたが、明瞭な結果が得られなかった。一方で、エチレン合成の阻害剤を用いる事で、LOFと同様の現象が観察されることから、MetEの関与するメチオニン合成経路が、LOF-MetE結合の下流に存在する可能性が考えられた。今後はこの点に焦点をあて、解析することが必要と考えられる。
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