• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

薬剤標的同定の為のプロテオミクス的プロファイリング法の改良と利用

公募研究

研究領域天然物ケミカルバイオロジー:分子標的と活性制御
研究課題/領域番号 24102536
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

室井 誠  独立行政法人理化学研究所, 化合物ライブラリー評価研究チーム, 専任研究員 (30261168)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードケミカルバイオロジー / プロテオミクス / 標的分子同定 / プロファイリング / 天然物 / 生理活性物質
研究実績の概要

2次元電気泳動をベースとしたプロテオーム解析手法である2D-DIGEを用いた薬剤の標的分子同定を目的としたプロファイリング法(ChemProteoBase)を用いて、理研化合物バンク(NPDepo)の作用未知化合物であるNPD6689, NPD8617, NPD8969を解析した。標準化合物42化合物と比較したところ、ノコダゾールやビンブラスチンなどのチューブリン作用薬やトポイソメラーゼのカタリティック阻害剤であるBNS-22やICRF-193と同じクラスターに分類された。また、これら化合物は、形態を用いたプロファイリング法であるモルフォローム解析でもチューブリン阻害剤に最も類似した作用があることが示された。これらの推測結果をもとに、チューブリンの重合に及ぼす作用をタンパク質レベルで検討したところ、チューブリンの重合を阻害した。細胞レベルでも細胞周期をG2/M期で停止させること、紡錘体形成やチューブリンのネットワークに作用することから、NPD6689, NPD8617, NPD8969の標的はチューブリンであることが示され、本解析を用いた推測が有効であることが示された。
新規化合物Protuboxepin Aについても解析を行った。Protuboxepin Aは染色体のミスアライメントを誘導し、分裂中期で細胞周期を停止させる化合物としてとられたが、解析の結果、チューブリン阻害剤などの同様な作用をもつ化合物とは異なったクラスターに分類され、新規作用を示唆する結果が得られた。
既知化合物のデータを取得しデータベースの拡張とともに、新規データベース作成のために化合物に特徴的なスポットのデータ取得と同定を行った。得られたデータから化合物の標的同定につながるマイニングツールの作成を行った。また、2次元電気泳動技術を含め、本解析系を用いた共同研究にも着手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ChemProteoBaseを利用した化合物の解析については、新規化合物についても解析例が徐々に増えている。現在解析中の化合物を含めるとシステムを利用した解析という点では、おおむね目的が達成された。また、本システムを用いた共同研究や2次元電気泳動の技術を生かした共同研究も開始することができた。
今回取り組んでいる、より精度の高いデータベースとマイニングシステムについては、初年度はデータの収集/解析/データベースの基本的システムの構築に時間を割いてきた。データから化合物の標的を推定する為のマイニングシステムについては、既存のデータを主に用いて作成を行ってきたが、新しいデータベースについての拡張を早めに取り組む必要がある。

今後の研究の推進方策

現在のデータベース拡張のために化合物の作用解析を進める。既存のデータベースを利用してマイニングツールを作成し、新規データーベースシステムに拡張し、新規化合物の解析結果に反映させる事によって精度の高いシステムを構築する。また、作用標的の明らかでない化合物の解析を順次進めていく。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Target identification of small molecules based on chemic al biology approaches.2013

    • 著者名/発表者名
      Y. Futamura, M. Muroi and H. Osada
    • 雑誌名

      Mol Biosyst

      巻: 9 ページ: 897-914

    • DOI

      10.1039/c2mb25468a

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Protuboxepin A, a marine fungal metabolite, inducing metaphase arrest and chromosomal misalignment in tumor cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Asami, J. H. Jang, N. K. Soung, L. He, D. O. Moon, J. W. Kim, H. Oh, M. Muroi, H. Osada, B. Y. Kim and J. S. Ahn
    • 雑誌名

      Bioorg Med Chem

      巻: 20 ページ: 3799-3806

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2012.04.039

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Morphobase, an Encyclopedic Cell Morphology Database, and Its Use for Drug Target Identification.2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Futamura, M. Kawatani, S. Kazami, K. Tanaka, M. Muroi, T. Shimizu, K. Tomita, N. Watanabe and H. Osada
    • 雑誌名

      Chem Biol

      巻: 19 ページ: 1620-1630

    • DOI

      10.1016/j.chembiol.2012.10.014

    • 査読あり
  • [学会発表] Proteobaseを用いた新規プロテアソーム阻害剤ピロリジラクトンの標的同定2013

    • 著者名/発表者名
      室井 誠、近藤 久恵、平田 泰子、青野 晴美、川谷 誠、野川 俊彦、長田 裕之
    • 学会等名
      日本農芸化学会2013年度大会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2013-03-24 – 2013-03-28
  • [学会発表] Proteome-based profiling approach to predict targets of bioactive small molecules using two-dimensional fluorescence differential gel electrophoresis (2D-DIGE)2012

    • 著者名/発表者名
      M. Muroi and H. Osada
    • 学会等名
      The 1st International Symposium on Chemical Biology of Natural Products: Target ID and Regulation of Bioactivity.
    • 発表場所
      Kyoto, Japan
    • 年月日
      2012-10-31 – 2012-11-01
  • [学会発表] 薬剤標的同定の為のプロテオミクス的プロファイリング法2012

    • 著者名/発表者名
      室井 誠、長田 裕之
    • 学会等名
      新学術領域研究「天然物ケミカルバイオロジー~分子標的と活性制御~」 第2回公開シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2012-06-17 – 2012-06-18

URL: 

公開日: 2018-02-02  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi