研究概要 |
本研究では、自己形成量子ドットを含むp-i-nダイオード構造に対して、高度な電子制御が可能な縦型単電子素子と同構造であるサイドゲート型ピラー構造を作りこみ、単一量子ドットEL(電流注入発光)を得ることに成功した。本素子はp-, n-電極に加え、電子状態制御のためのサイドゲートを持つため、表面が金属でほぼ覆われ、従来の方法では、効率的な光取り出しは難しい。そこで今回、素子作製に加え、このためのフリップチップ型の実装を行い、裏面からの光子取り出し手法を開発し、低温(4-15K)、電流注入時においても、裏面から高解像度の素子像をえることができた。これにより、数百nmの発光領域にアクセスすることができる。実際にこの手法により、電流注入による単一ドットからのEL観測に成功した。本素子は、量子ドット中の電子状態制御と単一光子発生を両立することが可能であり、主要な量子伝送の担い手である“光子”をもちいて、主要な量子演算の担い手である“電子スピン”間の量子もつれ発生へ応用できる。本素子のゲート電圧印加により、スピン-光子量子もつれした単一光子が発生する電子状態へ制御し、その光子を2素子から発生させ、2光子干渉させると、理想的には1/4の確率でそれぞれの素子内の残存スピン間に量子もつれが生じると予想される。
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