本研究課題の目的は、地上大型望遠鏡での系外惑星の直接検出とキャラクタリゼーションを目指した、高コントラスト観測装置を開発することである。系外惑星の直接検出のためには、明るい恒星からの光を強力に除去しなければならない。本研究では主に、SPLINE (Savart-plate lateral-shearing interferometric nuller for exoplanets)の開発を推進した。SPLINEとは、サバール板と呼ばれる偏光分離素子を2枚の偏光子で挟んだ横シアリング干渉計であり、打ち消し合う光波干渉を利用して恒星光を除去する。これまでに、北海道大学においてSPLINEシミュレータを構築し、性能評価のための室内実証試験を行ってきた。本研究課題では、開発中のSPLINEをさらに発展させ、より高いコントラストと観測性能の向上を目指した観測システムの構築を目標とした。 平成25年度は、(1)観測効率を向上させるための2チャンネルSPLINEの開発、および(2)より高いコントラスト実証を目指したSPLINE用光波面センサの開発を実施した。従来提案されていたSPLINEは、偏光子の使用により光量スループットが悪いという問題があった。そこで、偏光子の代わりに方解石製の偏光分離素子を用いた、2チャンネルSPLINEシミュレータを構築した。その結果、光量スループットの大幅な改善に成功した。 SPLINEのコントラストを制限している主な要因は、使用する光学素子の面精度に起因する、光波面乱れである。したがって、システムに入射する光波面の乱れを測定する波面センサの開発が必要不可欠である。本研究では、波面乱れの3次元情報(空間2次元、波長1次元)を取得できる3次元波面センサのシミュレータを構築し、2波長(波長532nmおよび670nm)光源での波面測定の原理実証試験を推進した。
|