研究領域 | 太陽系外惑星の新機軸:地球型惑星へ |
研究課題/領域番号 |
24103507
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐野 孝好 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 助教 (80362606)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | レーザー衝撃圧縮 / 高圧物性 / 惑星内部構造 / 系外惑星 |
研究実績の概要 |
本研究は、国内で唯一の大型レーザーである激光XII号レーザーを用いて、巨大惑星内部の極限状態を実験室で直接再現し、その物理状態を解析することを目的としている。本研究では特に、天王星に代表される巨大氷惑星に着目する。太陽系外でも数多く発見されている巨大氷惑星の内部構造やダイナモ機構を、実験的に検証された状態方程式や電気伝導度を用いて正確に理解することで、太陽系内外の惑星誕生シナリオを統一的に解明していきたい。 具体的には、レーザー衝撃圧縮を用いて巨大氷惑星内部の物理状態を実験室で再現し、状態方程式データ(圧力、密度、温度) 及び電気伝導度を測定する。水・アンモニア・メタンを試料として、まずは基本ユゴニオ上で500GPa から1TPa の圧力領域での状態量を、それぞれ単体で決定する。衝撃圧縮状態量の決定には、最も一般的であるインピーダンスマッチングのテクニックを利用する。 本年度は水とメタンを資料とした実験を行い、状態方程式データの取得に成功した。水の実験では、純粋な水だけでなく、惑星内部を模擬した混合試料を用いた実験も開始することができた。現在は、実験結果の詳細な解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標であった、予備圧縮なしの状態方程式実験では、状態方程式決定に必要なデータを取得することに成功した。さらに、今後の目標である混合試料を用いた実験や、ダイアモンドセルを用いた予備圧縮ターゲットの実験についても、テスト実験を順調に進められている。したがって、初年度の成果としては、おおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、反射衝撃波や静・動圧縮カップリング法を用いたオフユゴニオ計測に取り組み、惑星内部の断熱曲線により近い状態を創り出していく。さらに、水・アンモニア・メタンの混合物を試料としたレーザー衝撃圧縮実験を行い、超高圧混合状態の特性や相転移について明らかにしていく。 ユゴニオ計測だけでは、必ずしも惑星内部と同一の状態が創られるわけではない。一般に、衝撃波で一気に加圧した場合、同じ圧力の惑星内部状態と比べて、温度が高くなり過ぎる。したがって、温度の上昇をコントロールしたオフユゴニオ計測の技術が重要になる。 オフユゴニオ計測法の一つが、ダイアモンドアンビルセルによって試料を予備圧縮し、その状態をさらにレーザー衝撃圧縮するという、静圧縮と動圧縮をカップルさせた方法である。この方法は、予備圧縮の圧力を任意に選ぶことによって、相図上の幅広い領域にアクセスできるという非常に魅力的な利点を持っている。我々のグループでも、後者の静・動圧縮カップリング法の開発を行っている。水・アンモニア・メタンについても、この方法を用いて、超イオン化などの相転移の解明に迫っていきたい。 さらに、惑星内部により近い現実的なモデルとして、水・アンモニア・メタンの混合状態の超高圧下での物理特性を調べていく。組成の割合をパラメータとして変化させた上で、メタンハイドレートなど混合物としての振る舞いが、惑星内部構造やダイナモ運動にどのような影響があるか、実験的に検証していきたい。
|