研究領域 | 医用画像に基づく計算解剖学の創成と診断・治療支援の高度化 |
研究課題/領域番号 |
24103703
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
羽石 秀昭 千葉大学, フロンティアメディカル工学研究開発センター, 教授 (20228521)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | MRI / 4D / 呼吸運動 / 横隔膜 / 体動 |
研究実績の概要 |
胸腹部の呼吸性動態を解析するために,被ばく無しに収集可能な4次元MRIは強力なデータベースとなり得る.われわれはこの収集技術を数年前に開発した.しかし,データ収集には30分程度を要するため,より一層の撮影時間短縮が必要となっている.現在の収集方法はレトロスペクティブなものであり,スライス位置ごとに自然呼吸下で1分程度の撮影を行い,これを20程度のスライス位置で行い,収集後にベストな呼吸周期を選択して採用している.これに対して,1分間データを収集するのではなく適当な基準を満たした段階で打ち切るプロスペクティブな方法を考案した.これを現有のデータに適用して時間短縮の程度を見積もったところ,およそ半分の時間で,ほぼ同等程度の画質をもつ4次元MRIが得られることがわかった. 24年度は横隔膜の統計モデル作成も行った.胸腹部の4次元MRIから横隔膜を抽出し,その動きの統計モデルを構築する.異なる被験者間では横隔膜の形状も呼吸周期も異なるため,統計解析のために,まずこれらを正則化した.統計モデル化には一般化N次元主成分分析(GND-PCA)を利用した.10人の健常者データに対してleave-one-out法でモデル化と検証を行った.また,通常の主成分分析(PCA)の結果との比較も行った.この結果,通常のPCAでは,最初の3主成分で98%の寄与率が得られるものの,平均5.0mmのエラー(左肺)が観測される結果となった.一方,GND-PCAの場合は,エラーがおよそ1mmとなり,少ないサンプルからでも横隔膜の再構成が可能であることが示された.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル化は順調に進んでいる.また撮影法としてプロスペクティブな方法について成果が得られている.しかし,高低解像度併用法として挙げた方法については遅れているため,25年にペースを上げて進める.
|
今後の研究の推進方策 |
今年度4月より特任研究員を雇用して,研究を加速する. データ収集に関して,提供元との連絡を密にするようにしており,より多くの画像データの確保に努める. 研究代表者自身もまた,本研究への時間配分を昨年に比べて増加させて,研究を進める. 小テーマの一つに挙げていた,放射線治療計画への応用については,千葉大大学医学部附属病院放射線科の先生に連絡を取って,具体的な研究計画を立て,着実に進めたい.
|