公募研究
本課題では,肺や肝臓など体幹部臓器について,4次元MRIを用いて呼吸由来変位量を求める方法およびその解析方法,医学的利用法について研究を行った.平成25年度は,大きく3つの内容について研究を進め,それぞれ成果を得た.要約して説明する.(1)横隔膜運動のCOPD(慢性閉塞性肺疾患)患者と健常者間の動きの比較:4次元MRIから横隔膜を抽出し,その動き(具体的には振幅や位相)を,COPD患者と健常者間で比較した.それぞれ10例以上のデータを解析し,有意な違いを得た.この過程で,これらの特徴量を安定的に算出するアルゴリズムを確立した.(2)4次元MRIのデータ収集時間の削減:従来30分程度かかっているデータ収集時間を短縮するために2つの方法を研究した.ひとつは収集時にリアルタイムに条件判断を行い,必要なデータが得られた段階でその収集を終了する方法であり,もうひとつは,データのスパース性を考慮して収集するデータ量自体を低減し,後段の再構成で高度な処理を行い,画質を維持する方法である.4次元MRIの実データに適用して,いずれの方法も時間短縮に効果があることを確認した.(3)胸腹部臓器の2点間の呼吸による相対的な動きの解析と利用:4次元MRIのデータを用い,臓器の任意の2点間の動き,および1点の動きから他点の動きを予測する方法について研究を行った.一定の推定精度で動き推定が可能であることを示した.この方法は,高速PETを用いた放射線治療時の腫瘍描出や,放射線治療計画などに利用可能になると考えている.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Computational and Mathematical Methods in Medicine
巻: Article ID 482941 ページ: -
日本画像学会誌
巻: 52 ページ: 205-211