公募研究
当該研究は,肝臓内にある腫瘍を除去する腹腔鏡下手術(腹腔鏡下肝切除術)を対象として, 実時間有限要素解析により,術中の肝臓・腫瘍および周辺組織の精緻な変形を再現し,それを基に術者に有益な情報を提供することで,安全・確実な低侵襲手術を支援するシステムの開発を目的とする.平成25年度では,立体内視鏡から取得したステレオ画像から,肝臓表面形状を実時間で復元する方法を開発した.一般に,ステレオ画像から形状表面を復元するために,ステレオ画像を構成する左・右画像の対応関係を求める.この対応付けは,注目画素を中心とした窓を設定し,窓内の局所的特徴パターンの類似性に基づく.しかし,肝臓など,人体組織表面のテクスチャは一様であり,似たような局所パターンが多く存在するため,対応付けが複雑になる.これに対し,我々は,広域的エッジという新しい特徴量を定義し,これを用いて対応付けを行った.通常のエッジ値は,注目画素の近傍で差分を取って求めるのに対し,広域的エッジ値は,注目画素を含む一行全体の広い領域での差分計算で求められる.これにより,輝度値変化の少ない連続面上において,周囲の輪郭部分の影響を加味した特徴を得ることができる.また,広域的エッジを効率的に算出する方法を構築し,実時間で形状復元が可能となった.実験結果から,従来のステレオ法と比べ,対応点未検出によるデータの欠損を削減し,連続した領域について,より滑らかな視差情報が得られた.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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IEICE Transactions on Information and Systems
巻: E96-D ページ: 784-797