研究領域 | 先端加速器LHCが切り拓くテラスケールの素粒子物理学~真空と時空への新たな挑戦 |
研究課題/領域番号 |
24104503
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
小寺 克茂 信州大学, 理学部, 研究員 (60448074)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | テラスケール物理 / プラスティックシンチレータ / PPD / 発光量 |
研究実績の概要 |
シンチレータにベータ線を射出し,そのことで得られるシンチレータからの発光量を 一端に設置したPPD(ピクセル化光子検出器) で捕らえ,ベータ線入射位置の関数として PPD で捕らえた光子量を表す.これが本研究での観測対象である.その位置一様性,絶対強度を評価する.本年度はXYムービングステージを使い,0.1 mm 以下の精度で入射位置をコントロールするシステムを構築した.ベータ線コリメータの直径が 0.5 mm であるため,位置測定精度は 0.1 mm に至らないが,本研究の用途に十分な性能の自動測定システムを構築できた.装置全体を恒温槽に入れて作成したことも含め,この自動化は測定精度を大幅に改善した.光量の不確かさ:5%→1%, 位置の不確かさ:1mm → 0.3 mm. また,測定が敏速になり,測定ポイントを詳細に変えてサンプリングできるようになった. シミュレーションとの比較による光量予測は遅れたが,簡単なモデル関数を採用し,入射位置での発光量,減衰定数をパラメータとして求められるようになった. シンチレータ製造企業を調査し,複数社との連携を得られたため,各種のシンチレータ試料を得ることができ,それらの性能を測定できた.シンチレータの形状,反射材の使い方,光子進行方向のコントロール法についての議論を彼らと行い,テストするべきシンチレータからの光子の取り出し法について,バリエーションが増えた.実際にいくつかの試料を既に入手し,測定の準備にかかっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンチレータ/PPD ユニットの応答位置依存性を測定するためのシステムを構築でき,シンチレータ製造企業と連絡をとり,各種のシンチレータについて,応答高さ,位置依存性を測定できたことは,計画に先んじている. 一方,色々な形状のシンチレータ/PPD ユニットの位置依存性を予言するために,シミュレーション方を確立するという課題については予定に達しなかった.
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今後の研究の推進方策 |
シミュレーションと実験の一致を確かめる段階である. 前期にはシミュレーション法を確立し,多種のシンチレータ/PPD ユニットを開発し,その一致を調べる. この結果により,適度な光量があり,応答一様性の高いシンチレータ/PPD ユニットを開発する.
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