公募研究
含窒素複素環式カルベン(以下、NHC)は隣接するヘテロ原子の立体電子効果により安定化された一重項アゾリウムカルベンであり、極性転換反応やRedox反応において特異な反応性を示す有機分子触媒である。本研究ではNHC触媒の高活性化や汎用性の拡張、従来とは異なる触媒機能や協同効果の発見を目指した。なかでも反応性、選択性ともに大きな課題を残しているイミダゾリウム塩の高度化させるために、機能性イミダゾリウム塩の設計と、それらを用いた触媒的不斉反応の開発研究を実施し、以下のような成果を得た。昨年度の検討によって、 NHC触媒前駆体であるイミダゾリウム塩そのものがインドール類のFriedel-Crafts型共役付加反応において有用な有機分子触媒として機能することを見出した。しかしながら、本反応におけるイミダゾリウム塩の詳細な役割については不明であった。そこで、イミダゾリウムカチオンとインドールのカチオン-π相互作用が本反応の鍵であると考え、イミダゾリウムカチオンとインドールの分子間相互作用について、ab initio 分子軌道法によって解析したところ、期待した通り二つの分子間には 15 kcal/mol を超える強い引力が働いており、イミダゾリウムの 2位の C-H がインドールの6員環と接触する構造が最も安定であることが明らかとなった。また、先に見出した本反応におけるイミダゾリウム塩の対アニオンに関する知見を踏まえ、本反応はイミダゾリウム塩によるカチオン-π相互作用およびルイス塩基的相互作用を利用したインドールの二重活性化機構により進行していることが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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