今後の研究の推進方策 |
3タイプの有機触媒をシステマティックに設計し、独創的な不斉有機触媒反応へと展開する。「酸・塩基複合型触媒の開発」にあたっては、SO3H基に由来するプロトンの授受を含む酸・塩基複合型触媒を創製する。強酸性のスルホン酸由来のアンモニウム塩は、完全に中和されることなく、Br#248;nsted酸としての触媒活性がある。BINSAの3,3’位は無置換のまま嵩高い塩を形成させることで、3,3’位の置換基導入に匹敵する独創的な触媒設計を鍵とする。C2対称のBINSAのシンプルさが、基質にあわせてオーダーメイドできる自由度の高い酸・塩基複合型触媒の創製に繋がることが特色である。「第4級オニウム塩触媒の開発」にあたっては、プロトン授受を含まない第4級アンモニウムや第4級ホスホニウムを含む中性イオンペア触媒を創製する。スルホナート(SO3-)は強酸の共役塩基であり、弱Br#248;nsted塩基性であるが、BINSAオニウム塩は2つの隣接するスルホナート基によって実質の塩基性度は向上する。相間移動触媒の機能とは全く異なり、2つのスルホナートを鍵として嵩高いカチオン部位との相互作用で触媒の不斉場を劇的に増幅させる点が独創的である。「3,3’置換触媒の開発」にあたっては、3,3’位へ効率的に置換基を導入法を開発し、無修飾のSO3H基を持つ3,3’置換BINSAを創製する。2つの強酸性SO3H基を用いて同時活性化できる革新的不斉触媒反応を開発する。
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