研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
24105514
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
原口 直樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30378260)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 有機分子触媒 / 高分子微粒子 / ワンポット合成 / 高分子触媒 / 不斉反応 / イオン結合 / キラル高分子 / イオン交換反応 |
研究実績の概要 |
有機分子触媒をコア部に導入したコア-シェル構造を有する高分子微粒子固定化有機分子触媒の合成を目的として、初年度は主に有機分子触媒固定化用コア-シェル型高分子微粒子の合成ならびにコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の合成を行った。 スルホネートを有するモノマー、コモノマーと架橋モノマーを用い、ラジカル開始剤による沈殿重合法により、有機分子触媒固定化用コア-シェル型高分子微粒子を合成した。スルホネートを有するモノマーとして、スチレンスルホン酸フェニルを用い、微粒子形成後に定量的な脱保護反応をすることにより、目的の構造を有する真球状の微粒子を得ることに成功した。粒子径はモノマー組成や重合溶媒によって制御することが可能であり、数百ナノメートルから数マイクロメートルまで調節が可能であった。粒子径分布は小さく、粒子径の揃った高分子微粒子が得られた。 次に、キラルイミダゾリジノン触媒等の有機分子触媒を用い、イオン交換反応によるコア-シェル型高分子微粒子への固定化反応を行った。コア-シェル型高分子微粒子とアルキル四置換アンモニウム塩等を有するキラル有機分子触媒を溶媒中、室温で混合すると、アンモニウムスルホネートが分子間で速やかに生成し、目的とするコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒が得られることが明らかとなった。イオン交換反応後も微粒子形状、粒子径、粒子径分布に変化はなく、安定に有機分子触媒の固定化反応を行えることが分かった。触媒導入率はスルホネートを有するモノマー、コモノマーと架橋モノマーの組成比や触媒の種類に依存するため、定量的に導入できる条件の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度計画として掲げた有機分子触媒固定化用コア-シェル型高分子微粒子の合成ならびにコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の合成の計画のうち、ポリマーの一次構造、親水性ー疎水性バランスを変えたコア-シェル型高分子微粒子の合成ならびにコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の安定性評価は未実施である。一方、平成25年度に実施を予定していたコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒を用いた触媒的不斉反応は一部実施しており、本研究課題はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は主にコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒を用いた触媒的不斉反応とワンポット合成反応を行う。 高分子微粒子上に固定化した有機分子触媒に対応した不斉反応を行い、コアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の触媒性能の評価を行う。不斉反応における転化率、生成物の収率、立体選択性、触媒の再使用性に関して、コアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の特徴を明らかにすると共に、コアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の合成、触媒固定化反応条件を再検討し、高性能コアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の開発を目指す。 上記反応の結果を踏まえ、複数のコアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒を用いた触媒的ワンポット合成を行う。各反応における転化率、生成物の収率、立体選択性、サイトアイソレーション効率から各コアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の触媒性能評価を行う。さらに水系反応に適したコア-シェル型高分子微粒子を調製し、高収率かつ高立体選択性で光学活性化合物が得られ、高い再使用性を有する(またはフローシステムへの応用が可能な)環境調和型コアーシェル型高分子微粒子固定化有機分子触媒の開発を行い、光学活性化合物のワンポット反応合成システムへの適用を目指す。
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