研究実績の概要 |
本研究課題では実用的酸素酸化分子変換システムに利用可能なフラビン分子触媒の開発のために、機能性反応場を有する固相担体にフラビン分子を固定化し、担持型触媒として回収再利用を可能とすると同時に反応場に由来する高活性・高選択性など触媒自体の高機能化を達成することを目的としている。 本年度の研究においては、(1)金ナノ粒子を担体とするフラビン金ナノ粒子触媒の合成および(2)超分子ゲルを担体とするフラビン超分子ゲル触媒の合成を達成し、ヒドラジンの酸素酸化反応を利用したオレフィンの水素化反応を用いて、その触媒活性および触媒の回収再利用性を評価した。 (1)アルカンチオールの末端位にフラビン分子を導入したジスルフィドとトリフェニルホスフィン保護金ナノ粒子との配位子交換により金ナノ粒子表面をフラビン分子で修飾したフラビン金ナノ粒子触媒の合成を達成した。さらにフラビン金ナノ粒子触媒が均一系フラビン触媒と比べて高い活性を有しており、回収再利用が可能であることを明らかにした。 (2)超分子ゲル化剤である1,2-ビス(アルカンアミド)シクロヘキサンのアルカンアミドの末端位にフラビン分子を導入し、これが高いゲル化能を有することを明らかにし、フラビン超分子ゲル触媒の合成を達成した。さらに、フラビン超分子ゲル触媒を構成するアルカンアミドの炭素鎖長と触媒活性の相関を評価し、アルカンアミドの炭素鎖によりフラビン分子触媒周辺に構築される疎水性環境が反応場として機能することを明らかにした。
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