公募研究
申請者はこれまでに、N-オキシドやホスフィンオキシドがトリクロロシリル化合物を活性化することにより、不斉アルドール反応をはじめとするいくつかの不斉反応を開発し、N-オキシドやホスフィンオキシドの有機分子触媒としての有用性を世界に先駆けて実証してきた。今年度は、各種反応における触媒の構造最適化を目指して多くのN-オキシド・ホスフィン誘導体を合成したとともに、前年度に開発した2種のケトン間のアルドール反応を利用した、生物活性物質エリカノン合成の経路を開拓することができた。また、複数の反応点をもつカルボニル化合物を用いて、連続して2回のアルドール反応が進行する二重アルドール反応(アルドール供与体の2箇所で受容体と反応するタイプと1箇所で2度反応するタイプ)が、極めて高いジアステレオ並びにエナンチオ選択性で円滑に進行することを見出した。現在、本反応のザナミビル等の生物活性物質の合成鍵反応への応用を検討中である。また、ホスフィンオキシドを触媒、四塩化ケイ素を反応剤として共役エノンを基質とすることにより、森田ーBaylisーHillman反応が高立体選択的に進行することを見出した。本反応では、四塩化ケイ素から脱離する塩化物イオンの付加脱離が大きな役割を果たしている。さらに、他機関(北大触研・小笠原ら)との共同研究として、らせん不斉を持つ新しい骨格を持つキラルなホスフィンオキシドが、有機分子触媒として有用であることを見出した。本触媒は、アリルトリクロロシランによるアルデヒドの不斉エポキシ化やメソエポキシドの不斉開環反応に有用である。特に前者では、従来のホスフィンオキシドにはない極めて高い触媒活性を示すことが特徴的であり、今後の有機分子触媒に大きな指針を与えるものとなろう。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件)
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