公募研究
本研究では、「有機塩基触媒を用いた不斉ハロラクトン化反応」を開発し、それを鍵反応とする「生物活性天然物の効率的合成法」 の確立を目的とする。本年度は、 昨年度までに開発した不斉ブロモラクトン化反応を応用し、ラセミ体の環状エンカルボン酸に対する速度論的光学分割と鎖状ジエンカルボン酸に対する非対称化ブロモラクトン化反応を検討した。特に、 前者ではハロ環化反応における速度論的光学分割として最初の成功例を報告した。更に、環状シクロヘキセン誘導体の不斉ブロモラクトン化反応を鍵反応とするSphingofungin Eの全合成を検討した。3 mol%の(DHQD)2PHALを触媒として反応を行った場合でも、高収率と高選択性にてブロモラクトン体を得た。生成物が第四級炭素を含む三連続不斉中心を有するという構造的特徴に注目し、この反応を鍵とするSphingofungin Eの不斉全合成に適用した。Sphingofungin Eは強力な免疫抑制活性を有するセリン誘導体であり、その作用機序も市販の免疫抑制剤と全く異なるため、大変興味深い化合物である。不斉反応で得られたブロモラクトン体を変換した後、Mn触媒を用いるアリル位酸化により5位に水酸基を導入し、Sphingofungin Eの有する四連続不斉中心を構築した。次に、シクロへキセンの二重結合を酸化的に開裂することで得られたジアルデヒド体に対して、位置選択的オレフィン化反応を行った。穏和な条件で行うことのできるジヨードアルカンを反応剤とする高井反応を適用することで、立体的により空いているアルデヒド側で反応を進行させ、長鎖アルキル鎖を一挙に導入できた。残ったホルミル基に対してカルボン酸への酸化と続くホフマン転位を行うことによりアミノ基へと変換した。以上のようなルートに則り、標的天然物の効率的不斉全合成を達成した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://w3pharm.u-shizuoka-ken.ac.jp/lsocus/index.html