研究領域 | 有機分子触媒による未来型分子変換 |
研究課題/領域番号 |
24105532
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
御前 智則 兵庫県立大学, その他の研究科, 助教 (00411786)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 合成有機化学 / 有機分子触媒 / 不斉合成 / 不斉反応 |
研究実績の概要 |
これまでの研究で、求核剤基質としてβケトエステルやαホルミルエステルの代わりにβケトチオエステルやαホルミルチオエステルを用いると反応速度が格段に向上することが分かった。さらに種々触媒の検討を行った結果、ウレアや、チオウレアなどの水素結合供与基を適切な位置に持つ二官能性の塩基性有機分子触媒が適している事が分かってきた。 現在のところチオウレア基と第3級アミンをあわせ持つセリン由来のキラル有機分子触媒を用いるとαホルミルチオエステルのビニルケトンへの共役付加反応が高いエナンチオ選択性(92% ee)で進行することを見出しているが、基質の骨格によってエナンチオ選択性が低下する場合があった。 βケトチオエステルのビニルケトンへの共役付加反応においてはウレア基とグアニジンを組み合わせた有機分子触媒で最高52% eeまで選択性を高めることに成功している。しかし、基質の骨格によって反応速度が大きく低下してしまう場合があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
βケトエステルやαホルミルエステルの代わりにβケトチオエステルやαホルミルチオエステルを用いると反応速度が格段に高まることを見出した点が大きく、これによって、検討できる反応条件や触媒の幅が大きく広がった。その結果、既に比較的高いエナンチオ選択性も達成できているため。
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今後の研究の推進方策 |
αホルミルチオエステルのビニルケトンへの共役付加反応が高いエナンチオ選択性で進行することを見出しているが、やや基質一般性に欠けるため、触媒の構造を更に検討し、改善していく計画である。また、βケトチオエステルのビニルケトンへの共役付加反応においてはウレア基とグアニジンを組み合わせた有機分子触媒で最高52% eeを達成したが、不十分であるため、更に選択性を高める計画である。βケトチオエステルは、αホルミルチオエステルに比べ酸性度が低いため、より塩基性度の高いグアニジンを触媒として用いて検討を行っているが、それでも基質の骨格によって反応性が不十分であったため、触媒の立体制御能だけでなく、反応性に関しても改善していく計画である。
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