研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
24106501
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡嶋 孝治 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (70280998)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 細胞レオロジー / 超高速計測 / ポアソン比 |
研究実績の概要 |
細胞システムを構築するためには、細胞システム構築に有用な膨大な数の細胞素単位を計測し、評価する必要がある。本研究では、そのような細胞素単位を力学的・統計的に分離する超高速AFM細胞粘弾性(レオロジー)計測技術を開発する。特に、主要技術として、 (1)超高速AFM細胞レオロジー計測技術を開発し、 (2)異種細胞の複素弾性率と周波数依存ポアソン比の統計分布を計測し、in vitro環境で機能する3次元細胞システム構築に有用な細胞群を統計解析から抽出する細胞分離技術を確立することを目的とする。倒立型光学顕微鏡および正立型光学顕微鏡に搭載した原子間力顕微鏡およびFPGA用いた計測システムのプロトタイプを作製し、現在、実装評価中である。また、細胞種の異なる細胞レオロジーの差異を精密に計測するために、異なる種類の細胞マイクロパターン基板を作製した。そして、複数種類の細胞を用いて、細胞レオロジーと細胞内骨格構造との関係、および細胞レオロジーの細胞内分布を調べた。また、細胞レオロジー物性評価を行う過程において、細胞膜上部の運動性から細胞素単位を分離できる可能性に着目し、高速に細胞膜揺らぎを計測する手法を考案し、実証した。細胞シートの一軸延伸測定装置を開発した。ガラスニードルを力センサーとして用いることにより、長時間の細胞レオロジーを精密に計測することが可能になった。そして、細胞弾性量と細胞内骨格構造との関係に関する基礎データを取得することができた。これらの成果は、現在、2編の論文として投稿し、また、3編の論文として投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞分離の基本技術が構築され、超高速AFMレオロジーの開発もAFM本体とFPGA制御部との調整段階である。細胞表面物性による細胞分離技術という新規な方法論を提案し、細胞シートの延伸計測技術の順調に伸展している。
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今後の研究の推進方策 |
超高速AFM細胞レオロジー装置を用いて、異種細胞の複素弾性率・ポアソン比の超高速周波数統計解析を行う。また、AFMの操作が容易で、再現性のある細胞判定・分離が可能なAFMシステムの自動化の開発を行う。さらに、細胞シートを用いたアンサンブル細胞レオロジー計測法を用いて、細胞素単位の細胞レオロジーとアンサンブル平均を比較解析する。そして、細胞システム構築に適した細胞素単位の細胞力学活性の評価基準を定義し、AFM計測と細胞システム構築との研究者の密接な連携を可能にする。
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