研究領域 | 超高速バイオアセンブラ |
研究課題/領域番号 |
24106507
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木原 隆典 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (90436535)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 細胞・組織 / 生物・生体工学 / 石灰化 / 細胞動態 / シミュレーション |
研究実績の概要 |
生体内の様々な部位で生じる正常・異所性石灰化の形成機構・形成制御について統一的に検討する系を構築することができれば、広く生体内石灰化機構の解明とその制御に大いに資する。本研究では、細胞培養系で生じる石灰化を生体内で生じる様々な石灰化組織の再現系として捉え、各種生体内石灰化現象を生体外にて解析するための方法論の提案を目指す。 まず、生体外で様々な細胞によって形成される石灰化を統一的に検討するための、独自の石灰化シミュレーターの構築を行った。このシミュレーターは、細胞の動態をパラメーターとし、in silico空間で二次元的にマクロに石灰化をシミュレートするものである。また、グラフィカルユーザーインターフェースを採用することで、パラメーター調整と結果の確認が容易になるものとした。 次に、ラット間葉系幹細胞や骨肉腫細胞といった石灰化形成細胞を用いて、骨芽細胞への分化・石灰化組織の形成について経時的にその過程を観察することで、それぞれの細胞腫の骨芽細胞分化・石灰化形成の特徴の明確化を行った。さらにこれら経時的な過程から、シミュレーターで利用するいくつかの細胞動態パラメーターを決定した。 経時的な観察により得られたこれら細胞の骨芽細胞分化・石灰化形成過程をモデルとし、作成したシミュレーターを用いてその過程の再現を行った。これにより、これら細胞の骨芽細胞分化・石灰化の動態を再現するための、各種細胞動態パラメーターの同定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の一つの大きな目標として、生体外環境における細胞の石灰化現象を統一的に解析するための基盤創りが挙げられる。そのため、それを可能にするための石灰化シミュレーターを構築したことで、当初目標の半分は達成された。また、実際にこのシミュレーターを用いて石灰化の解析を行うことができることを今年度中に示すことができた。こうしたことから、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、作成したシミュレーターのパラメーターなどが実際の細胞動態をどの程度反映するようなものなのかについて検証することが必要となる。こうした検証を行うことで、様々な細胞の石灰化現象を統一的に解析するための基盤となると考えられる。さらに今後は、解析する石灰化細胞の種類を増やし、それぞれの石灰化細胞の細胞動態パラメーターを同定し、それぞれの細胞種で何が異なることで、骨芽細胞分化や石灰化形成が異なるかについて明らかにしていく。また、最終的にはこうした細胞の動態情報から、生体外で目的とする石灰化構造を再現するためには、どのような細胞を用い、あるいは制御を行う必要があるのかについて明確化し、生体外において多様な石灰化モデルの構築を行う。 また、石灰化現象のみならず、癌細胞の浸潤過程の動態解析など多様な細胞動態について解析できるようなシミュレーターの構築も行い、広く細胞動態解析ツールとして利用可能な基盤の形成を行う。
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