研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
24106701
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤村 正也 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (40202105)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 固相担持 / 不均一系触媒 / シリカ / ホスフィン / マイクロリアクター / 含窒素複素環化合物 / クロスカップリング / 有機ホウ素化合物 |
研究実績の概要 |
固相担持触媒は反応生成物との迅速分離が可能であること、反応空間における位置を規定できることなどから、複数の反応を時間的・空間的に結合させる集積化有機合成に有用である。我々が開発したシリカ担持モノホスフィンSilica-SMAPは、遷移金属種と厳格に1:1の関係で錯形成し、個々の錯体ユニットが空間的に分離される。結果、Silica-SMAP-遷移金属系は高度配位不飽和種を効果的に発生させるのに有用であり、様々な反応に高い触媒活性を示す。本研究では、Silica-SMAPを利用して、異種金属を同一表面に固定化し、第1段階の生成物が第2段階の基質となるドミノ触媒反応を実施することを計画した。 上記計画を実施するための準備研究として、最近開発したSilica-SMAP-遷移金属錯体触媒による芳香族化合物のオルト位選択的ホウ素化反応をさらに拡張し、脂肪族sp3-C-H結合のホウ素化反応を開発した。具体的には、トリアリールホスフィン型の新規シリカ担持かご型ホスフィンSilica-TRIPを配位子とするRh触媒によりアミド、ウレア、2-アミノピリジンの窒素隣接位のsp3-C-H結合ホウ素化が進行することを見出すとともに、Silica-SMAP-Ir触媒による2-アルキルピリジンのsp3-C-H結合ホウ素化反応を開発した。また銅触媒―ヒドロシランによるα,β-不飽和カルボニル化合物の共役還元にもSilica-SMAPが有用であることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
固相担持ホスフィンー遷移金属触媒によるC-Hホウ素化反応が脂肪族sp3-C-H結合のホウ素化反応にも適用可能となったことは予想以上の成果である。一方、固相担持触媒をフロー反応系に適用する検討がまだ実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
固相担持触媒をフロー反応系に適用する研究に着手し、反応時間の短縮や触媒回転数の向上などによってその有用性を実証する。これらの研究を実施するため、多孔質シリカ担体の再検討、高分子固定化触媒の開発などを実施する。
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