研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
24106716
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
白川 誠司 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60459865)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 不斉合成 / 有機触媒 / 相間移動触媒 / 軸不斉 / 面不斉 / 第四級アンモニウム塩 |
研究実績の概要 |
オルト位にヨウ素置換基を有する軸不斉アニリド化合物は、有用な有機化合物群を合成するためのキラルビルディングブロックとなるため、非常に重要な合成ターゲットである。しかし、その触媒的不斉合成は未だ達成されておらず、効率的な触媒的不斉合成法の開発が強く望まれていた。今回本研究では、デザイン型キラル相間移動触媒を用いた不斉アルキル化反応を利用し、本軸不斉化合物の高エナンチオ選択的不斉合成法の開発に取り組んだ。その結果、本反応に有効な相間移動触媒反応系の構築に成功し、本法を利用する事で、様々な置換基を有する軸不斉アニリド化合物群を、高いエナンチ選択性で効率的に合成する強力な手法を確立する事ができた。本手法を利用することで、オルト位にヨウ素置換基を有する軸不斉アニリド化合物の効率的ライブラリー合成がはじめて可能となった。 さらに、合成した光学活性軸不斉アニリド化合物を有用な化合物へと変換する手法の開発に取り組んだ。軸不斉アニリド化合物のオルト位のヨウ素置換基を利用し、軸不斉情報を損なう事なく、光学活性軸不斉リン化合物へと変換する事ができた。本化合物は、不斉配位子および不斉触媒開発における有用なキラルビルディングブロックとなる事が期待される。また、軸不斉アニリド化合物の不斉情報を不斉炭素中心へと転写する事で、重要なヘテロ環化合物の一つである光学活性インドリン化合物へと効率的に変換する事に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した通り、既にその有効性を報告している、ビナフチル骨格を有するキラル相間移動触媒を用いたアルキル化反応を利用し、軸不斉アニリドの触媒的不斉合成法の開発を行った。その結果、良好な結果を与える反応系を構築する事に成功し、当初の目的を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究は、当初の計画通り順調に進んでいるため、本年度も当初の計画通り研究を進めていく予定である。
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