公募研究
ステモナミンは生薬であるビャクブの成分として単離構造決定されたアルカロイドである。ビャクブは駆虫薬や鎮咳薬として用いられているが、その抽出物からは120種を超えるアルカロイドが検出され、個別の化合物の単離精製は容易でない。そのため、各アルカロイドの生物活性やその薬理機構などに関する研究はほとんど進展していない。ステモナミンは4環性のステモナアルカロイドであり、特にA環のシクロペンテンノンは全ての炭素骨格が置換基で占められており、きわめて立体的に密集した構造となっている。本化合物は天然からはラセミ体で単離されておりそのラセミ化機構はレトロマンニッヒ型反応で説明されている。全合成例はラセミ体の合成が2例報告されているにすぎず、その後の生物学的研究への展開も報告されていない。以上の背景のもと、筆者は自ら開発した集積型連続反応を利用したステモナミンのエナンチオ選択的合成を目指した。L-プロリンから不斉合成したプロリン誘導体とL-リンゴ酸から誘導したラクトンを縮合させエステルとしたのちにラクタム化した。これをヨウ化物に導いたのち、ブチルリチウムでリチオ化することによる分子内アシル化反応に付すことで7員環ヘミアセタールを高収率で得た。反応は速く、-78度で3分以内に完結した。これを還元的に開環させ、次いでヨウ化サマリウムによる脱酸素化反応によりラクタムケトン7へと導いた。アリル基の末端アルケンを酸化的に開裂させエステルとしてγケトエステルを合成した。これに対し、イノラートを反応させたところ、ケトンに対する付加反応それに、引き続きDickemann縮合反応が進行した。ここで生じたβ―ラクトンを脱炭酸させることで所望のシクロペンテノンを高収率で合成することができた。この比旋光度は-83度であり光学活性であることが確認された。ここからステモナミンまでの工程は既に予備試験により達成している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
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http://www.cm.kyushu-u.ac.jp/dv01/contents/research.html