研究概要 |
25年度は、ニッケルやパラジウム触媒によるケトンの脱水素化、1,4-付加の同一時空間反応集積化による新しい分子変換法の開発を行うとともに、前年度に見出されたロジウム触媒によるケトン類が脱水素化とフロー反応器を利用してケトンの脱水素化、1,4-付加の空間的反応集積化を試みる計画だった。 まず、前年度に開発したパラジウム触媒によるケトン類のγ位アミノ化によるγ-ジエナミノンの合成を応用して、炭素数5以上のアルキル鎖をもつケトンの二重脱水素化によるα,β,γ,δ-不飽和ケトンの合成の法開発に着手した。その結果、ケトンを酢酸パラジウムを触媒、炭酸アリルメチルを酸化剤とし、トリエチルアミンを塩基として共存させ、第三アミルアルコール中、100℃で加熱することによって、目的のα,β,γ,δ-不飽和ケトンが良好な収率で得られることを見出した。 また、プロピオフェノン類、エナミン、アンモニア源との三成分カップリングによるピリジン合成についても検討した。ここでは、プロピオフェノンの脱水素化、エナミンの1,4-付加、再脱水素化の同一時空間反応集積化、ならびにアンモニアとの縮合による環化との時間的反応集積化により、ピリジンが生成すると考えられる。そこで、種々の反応条件を検討した結果、触媒としてニッケル錯体、酸化剤としてクロロベンゼン、塩基としてリン酸カリウムを用いるとことによって、脱水素化、1,4-付加、再脱水素化までの過程が上手く進行することがわかった。さらに、塩化アンモニウムをアンモニア源として利用することにより、目的の二および三置換ピリジンが良好な収率で得られることわかった。さらに、ハロアルカンによるアルキル化を時間的集積化することによって、四置換ピリジンの合成にも成功した。 ケトンの脱水素化、1,4-付加の空間的反応集積化についても試みたが、現時点では生成物を収率20%以上で得るに至っていない。
|