研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
24106736
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高橋 圭介 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60380854)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | C-Hアミノ化反応 / 複素環 / O-H挿入 / Conia-ene / 全合成 |
研究実績の概要 |
カイトセファリンの全合成研究の途上で見出したC-Hアミノ化に基づくピロリジン環合成反応について条件検討とその一般性を検証した。その結果、DMF中、基質のスルファメートBoc保護体にNaHに続いて水を作用させると、スムーズに環化が進行することが分かった。水の役割については明確にはできていないが、ジャミソンらの報告を参考にし、分子内外の水素結合ネットワークによる活性化を考えている。又、水のみならず、プロトンン性溶媒であるメタノールにおいてもほぼ同様な効果が観察できた。求各種窒素原子の保護基に関しては、Cbz, Moc, Alloc, アセトアミド、ベンズアミドに加え、かさ高いBoc基も利用可能であることが確認できた。反応点近傍を様々にメチル基で置換した基質を種々合成し基質適用範囲の検証を行った結果、反応点近傍を4置換炭素でかさ高くした物においても置換様式に関係なく環化が進行する事がわかった。さらに条件検討を進め、スルファメートのBoc保護、活性化と環化の段階をワンポットで達成する条件も見出すことができた。又、同様な手法でピペリジン環も合成できることが分かった。さらにテトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環の合成にも成功した。これらに関しては、Boc化、酸素、硫黄原子上の脱アセチル化、環化という3段階の反応をワンポットで達成できた。これらようなスルファメートへの求核攻撃による環状化合物合成法は前例がなく、新たな合成化学的方法論を見出せたものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
C-Hアミノ化に基づく新たな複素環合成法を確立できた。即ち、求各種窒素原子の保護基に関しては、Cbz, Moc, Alloc, アセトアミド、ベンズアミドに加え、かさ高いBoc基も利用可能であることがを明らかにし、更に反応点近傍を様々にメチル基で置換した基質を種々合成し基質適用範囲の検証を行った結果、反応点近傍を4置換炭素でかさ高くした物においても置換様式に関係なく環化が進行する事がわかった。さらに条件検討を進め、スルファメートのBoc保護、活性化と環化の段階をワンポットで達成する条件も見出すことができた。さらにピペリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロチオフェン環の合成にも成功した。現在もう一つの課題であるワンポットO-H挿入ーConia-ene反応に関する検証を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
ピロリジン環合成法を確立できたのでその知見に基づき、カイトセファリンの高効率合成に着手する。 ワンポットO-H挿入ーConia-ene反応に関しては、基質一般性に関する検証をさらにすすめ、メカニズム解析も行う計画である。さらに本反応を活用した天然物合成にも着手する。
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