公募研究
高次カロテノイド・ペリジニン及びフコキサンチンは、海洋の光合成における補助集光色素として機能し、集光エネルギーを超効率的にクロロフィルへ伝達する。この機構解明に向け、これらカロテノイドの様々な類縁体供給を可能とする反応集積化合成法の開発を検討した。すなわち、触媒的なsp2-sp カップリングに続く分子内ラクトン化を集積化させ、共役鎖長に組み込まれたイリデンブテノリドの立体選択的ワンポット合成法を開発してきた。本年度は、この様な背景の下に以下の3つの課題を検討した。1.ワンポットでの3成分連結による短鎖ペリジニン類縁体の合成:これまでの実績を基に、ペリジニン類縁体の究極ワンポット合成を検討した。すなわち、スズとエチニル基を持つアクリル酸誘導体を開発し、この新規シントンに対して2種類のカップリングをワンポットで行い、C35ペリジニンの骨格形成に成功した。今後、この合成法に分子内ラクトン化も組み込みたい。2.パラセントロンのワンポット合成に向けた両官能性ジエンシントンの開発:パラセントロンはフコキサンチンと同様な官能基を持ち、その類縁体と見做せる。この分子のワンポット合成に向け、両端にハロゲンとボロンを有した新規E,E-ジエン分子を開発した。このシントンは、両端でそれぞれ2種類のカップリングを連続的に行えることを確認した。3.ペリジニンのSICT準位の特性およびイリデンブテノリドの役割解明:昨年度合成したペリジニンC29類縁体およびイリデンブテノリドシフト類縁体について、共同研究により超高速時間分解吸収スペクトルを測定した。その結果、前者ではヘキサン中でもSICT準位が観測されS1準位より安定化されていることを示した。これは極めて稀な例と言える。一方、後者ではSICT準位はほとんど観測されず、ペリジニンに比べ小さな分極を示した。これにより、SICT準位は分子の分極により生じることが明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 5件)
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