研究領域 | 反応集積化の合成化学 革新的手法の開拓と有機物質創成への展開 |
研究課題/領域番号 |
24106745
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
熊谷 直哉 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主任研究員 (40431887)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 触媒 / 構造変化型触媒 / 機能変化型触媒 / アゾベンゼン / 可逆的集積 |
研究実績の概要 |
反応系中で触媒機能を変化させる人工触媒の研究は世界的にもあまり進んでいないのが現状である。我々の有する光応答性凝集小分子を活用し、凝集・解離を鍵とする触媒機能のON/OFFを可能にする触媒系の探索を試みた。我々が見いだしたazobenzene含有光応答性bis(hydroxyphenyl)diamideは、アミド部位・フェノール部位が水素結合形成による凝集を促し、中央のazobenzeneユニットのcis/trans異性によりその水素結合ネットワークを制御することで、凝集・解離を可逆的に再現できる事が特徴である。本分子の可逆的凝集・解離、及び光応答性アゾベンゼンユニットの機能発現に競合しない部位に触媒機能の導入を試みた。検討の結果,分子右側のアニリド部位を4-アミノピリジンとすることで,凝集・解離の光応答を阻害することなく求核触媒として働くことを見いだした。本分子は、azobenzeneユニットがcis型で触媒分子が液相に存在する解離状態と、azobenzeneユニットがtrans型で凝集して液相から排除されている状態とでは、その求核触媒機能大きく異なることが観測された。ナフトールのt-ブトキシカルボニル化、2-アシロキシベンゾフランの転位反応において有意な反応速度差が確認された。本触媒分子の凝集・解離は光照射により繰り返しが可能で、反応系中での触媒機能のON/OFFも可能であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光応答性bis(hydroxyphenyl)amideの分子間水素結合による可逆的凝集・解離を利用する光応答性触媒の開発に成功し、国際学術誌に論文発表するとともに国際会議で発表した。
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今後の研究の推進方策 |
24年度に開発した触媒では機能のON/OFFのみが可能で、異なる触媒機能を発現させる事はできない。25年度は多機能発現型の触媒開発を目指す。
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