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2012 年度 実績報告書

ケミカルデバイスを利用したsiRNAによって誘起される分子反応の発現機構解明

公募研究

研究領域ナノメディシン分子科学
研究課題/領域番号 24107518
研究機関徳島大学

研究代表者

南川 典昭  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40209820)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードRNA干渉 / siRNA / ケミカルツール / 分子認識機構
研究実績の概要

平成24年度は、RNAi機構において最も重要と考えられているRNA induced silencing complex(RISC)蛋白質とsiRNAとの分子認識機構を明らかにすることを目標として研究を実施した。
合成した2種類のケミカルデバイスをウミシイタケルシフェラーゼを標的とするsiRNAに導入し、RNA干渉効果の測定を行った。その結果、センス鎖の5’末端部にマイナーグルーブに立体障害を持つ3Br体を導入した場合に、天然型と比較して顕著な活性の増強が見られ、一方で同じ位置に7Br体を導入した場合には活性の変化が見られなかった。
このような活性の増強が見られた要因を以下のように考察した。即ち、センス鎖の5’末端部に突出したBr基の立体障害により、この部位におけるRISCタンパク質との相互作用が阻害される。すると、センス鎖と結合できなくなったRISCタンパク質がアンチセンス鎖と結合し、それに伴いアンチセンス鎖のRISC形成量が増大することで活性の増強につながったと考えた。そこで、センス鎖並びにアンチセンス鎖のRISC形成量を、それぞれの鎖のRNAi活性を基に調べた結果、アンチセンス鎖の活性の増大したsiRNAにおいては、その活性の増大とともにセンス鎖の活性の減少が観測され、先の考察が正しいことが明らかとなった。
これらの結果は、今回使用したケミカルデバイスが、siRNA-RNAi関連タンパク質間の相互作用様式を明らかにするうえで有用であることを示すものであり、RNAi関連タンパク質がsiRNAのマイナーグルーブ側から相互作用しているという新たな知見を得ることに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は2年での実施を予定しており、初年度である平成24年度はRNAi機構において最も重要と考えられているRNA induced silencing complex(RISC)蛋白質とsiRNAとの分子認識機構を明らかにすることを目標としていた。
上述の研究実績報告より明らかなように、siRNA-RISC蛋白質間の相互作用においてsiRNAの二重らせんのマイナーグルーブが重要であることを明らかにでき、研究はおおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

siRNAのtoll-like receptor3(TLR3)刺激による自然免疫応答は、RNAi創薬における極めて重篤な副作用の原因となる。
2年目となる平成25年度は、この自然免疫応答回避を目的として、TLR3によるsiRNAの分子認識機構を明らかにする。これによりオフターゲット効果の回避による効果的な遺伝発現抑制効果と自然免疫応答の回避が可能なsiRNA分子の設計アルゴリズムが確立し、ナノsiRNAメディシンによる分子反応の理解とRNAi療法への応用を実現する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ケミカルツールを用いたsiRNA-タンパク質間の相互作用様式解明2013

    • 著者名/発表者名
      南川典昭
    • 学会等名
      日本薬学会第133年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県)
    • 年月日
      2013-03-27 – 2013-03-30
  • [学会発表] ケミカルツールを利用したRNA干渉の発現機構解明2012

    • 著者名/発表者名
      南川典昭
    • 学会等名
      アンチセンス・遺伝子・デリバリーシンポジウム2012
    • 発表場所
      仙台市民会館(宮城県)
    • 年月日
      2012-09-24 – 2012-09-26

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公開日: 2018-02-02  

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