• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

細胞の微弱電流環境下における物質取り込み変化の機構解明と革新的薬物送達への展開

公募研究

研究領域ナノメディシン分子科学
研究課題/領域番号 24107523
研究機関京都薬科大学

研究代表者

小暮 健太朗  京都薬科大学, 薬学部, 教授 (70262540)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード微弱電流環境 / エンドソーム脱出 / 送達キャリアー
研究実績の概要

in vivoおよびin vitroにおいて蛍光標識化オリゴ核酸を微弱電流処理した後、顕微鏡観察したところ、細胞内において蛍光核酸がドット状に観察されたことから、微弱電流によりエンドサイトーシスが誘導された可能性を見出した。さらに、微弱電流処理した細胞における遺伝子発現変動の網羅的解析を試みた。2種類の培養細胞を微弱電流処理し、DNAチップにより遺伝子発現を解析したところ、約1000個の遺伝子変動が観察された。両細胞に共通で発現変動している複数個の遺伝子について、real time PCR法を用いて詳細に変動解析を行ったところ、予想に反して有意な変動を示していたのは、1種類の遺伝子のみであった。このことから、短時間における微弱電流処理時の遺伝子変動が、細胞内取り込みおよび細胞内動態の変化に直接結びついている可能性は、低いことが示唆された。そこで、「シグナル伝達を中心とする細胞内タンパク質が微弱電流処理によって変化しているのではないか」と仮説を立て、質量分析法を用いてタンパク質のリン酸化に関する網羅的解析を試みた。培養細胞を用いて、微弱電流刺激による細胞内タンパク質のリン酸化変動を解析した結果、リン酸化が1.5倍以上亢進しているタンパク質は約100個、1/2以下にリン酸化が減少しているものは約50個認められた。これらのうち、リン酸化が亢進しているタンパク質について解析を行ったところ、多くは核内および細胞質内のタンパク質であったが、エンドサイトーシスや細胞骨格に関与するものが含まれていた。このことから、上述した仮説のように、微弱電流刺激によって細胞取り込みやエンドサイトーシスが変化している可能性を見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、(1)微弱電流環境における外来物質の細胞内取り込み/エンドソーム脱出のイメージング解析および(2)微弱電流環境における細胞イベント関連タンパク質の遺伝子/シグナル伝達変動の解析を当初計画しており、実際これらを検討した。その結果、細胞内取り込みが微弱電流環境において促進されることをイメージ解析によって明らかにするとともに、微弱電流環境においてシグナル伝達(タンパク質リン酸化)が変動していることを見出した。同時に、(3)微弱電流環境におけるエンドソーム物性の変化による細胞質放出と細胞内Ca2+イオンの流入の解析を行い、微弱電流環境において細胞内へのCa2+イオンの流入が起こること、およびプラスミドDNAによる遺伝子導入が更新することを見出した。これらのことから、当初研究目的についておおむね順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

申請時に、(1)微弱電流環境での取り込み・エンドソーム脱出の分子反応パラメータの同定および(2)分子反応パラメータ制御による細胞取込・エンドソーム脱出促進とその機能を搭載した革新的なDDSテクノロジーへの展開を提案していたが、この計画を遂行すべく研究を進めていきたいと考えている。特に、本研究の核心となる、分子反応パラメータの同定に関しては、本年度行った細胞シグナル解析から、その候補となるタンパク質が見出されつつあるので、それらに焦点を当てて解析を進めることで、同定へとつなげたいと考えている。さらに、分子反応パラメータが同定できることで、その制御による革新的なDDSテクノロジーに展開させられると期待している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 高分子物質のイオントフォレシス2012

    • 著者名/発表者名
      小暮健太朗
    • 学会等名
      第4回経皮投与製剤FGシンポジウム
    • 発表場所
      東京都品川区
    • 年月日
      2012-11-19 – 2012-11-19
    • 招待講演
  • [学会発表] 微弱電流刺激による高分子物質の皮膚透過促進メカニズム2012

    • 著者名/発表者名
      小暮健太朗
    • 学会等名
      第34回生体膜と薬物の相互作用シンポジウム
    • 発表場所
      京都府京都市
    • 年月日
      2012-11-15 – 2012-11-16
    • 招待講演
  • [備考]

    • URL

      http://www.kyoto-phu.ac.jp/labo/bukka/publications_kogure.html

URL: 

公開日: 2018-02-02  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi