公募研究
1.四万十帯牟岐メランジュ・槇峰層、美濃帯金山ユニット・舟伏山ユニットに算出する変質した玄武岩体の野外地質調査および実験用の試料採取を行った。その結果、玄武岩の変質様式や玄武岩下底断層の変形・流体移動様式について、付加深度や付加体の形成年代に応じた系統的な差異があることが判明した。また、特に美濃帯のような古い年齢の海洋プレートが沈み込んで形成された付加体において、玄武岩を整合的に覆う遠洋性堆積物(チャート)の続成が玄武岩内での高間隙水圧発生に大きく寄与した可能性があることが、露頭の産状から示された。2.玄武岩の変質組織および遠洋性堆積物の続成組織について、電子プローブマイクロアナライザーを用いた化学組成マッピングを行った。現世海洋地殻(南海トラフC0012地点)の玄武岩では、噴出時の脱ガスにより生じた気泡の大部分がサポナイトにより充填されていることが判明した。また美濃帯のチャートでは、シリカ鉱物相転移に伴い石英およびカルセドニーが間隙を充填し、間隙率が極端に低くなることが判明し、論文投稿準備中である。3.高知コアセンターのMIS-235-1-55-035 型小型圧密透水システムを用いて、玄武岩および美濃帯チャートの間隙率および浸透率を測定した。C0012地点の玄武岩の間隙率は10~20%程度あるのに対し、美濃帯チャートのそれは2.3%以下であった。浸透率測定においては間隙流体として窒素ガスを用い、封圧5~120MPaで実験を行った。玄武岩の浸透率は10^-17~10^-19程度であったが、チャートの浸透率はそれより低く測定限界に近い10^-22程度を持つものが見られた。4.今後、玄武岩からの脱水反応と遠洋性堆積物のキャップによる間隙水圧上昇をモデル化する予定である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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