研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
24108704
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
野尻 浩之 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80189399)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | スピンクロスオーバー / 錯体化学 / 量子ダイナミクス / 超強磁場 / 相制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、錯体分子系の物理的配向制御により、高機能疑似バルク単結晶系を創成し、これに対して超高速磁場を用いて、スピン-格子結合度及びスピン偏極を制御することで、磁場・電場に対する量子巨大応答を達成することである。本年度は、光誘起スピンクロスオーバー物質における相制御の研究において、 (1)Fe-Coの1次元構造を有する [Fe(Tp)(CN)3]2Co(bpe)1;5H2Oのスピンの多重度の変化による相変化をESRおよび比熱 により実証した、(2)1次元ジグザク鎖物質[Fe-Co(R-pabn)(tp)(CN)3]BF4の荷移動スピンクロスオーバー転移が電気抵抗の異常を伴うことを発見し、超低速でマクロな誘電ゆらぎを見いだすとともに、圧縮による転移の凍結という新現象を確立した、(3)XMCD分光を用いてスピンクロスオーバー転移におけるスピン状態と結合の変化を定量的に評価する事に成功した、等の成果を得た。さらに、スピンのコヒーレント操作のためのへテロスピン系の開発をすすめ、交換バイアスによるゼロ磁場周波数がテラヘルツ領域にあることをESRおよび中性子散乱により確定し、安定なスピン操作の可能性を示した。その他、Ni, Coなどの新規スピンクラスター系の評価、これまで見いだされた中で最大の基底状態スピンをもつFeクラスターの基底状態の解明、Co錯体の温度による異方性のスイッチング、ラジカル-Coへテロスピン系の電荷移動現象などをESR等の評価手段を用いて研究し、錯体分子系のプログラミングによる機能発現の有用な基盤となる結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電荷移動スピンクロスオーバー系を中心に、様々な評価手法を組み合わせた総合的な研究が進展しており、また、電気伝導の異常や圧縮効果など、新現象も見いだされるなど、研究全般に関して順調に成果が出ていると判断出来るため。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は最終年度となるため、プログラミングという課題を達成出来るように、成果の取りまとめに留意して研究を推進する。
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