本研究では、新規なハイブリッド型金属錯体ナノチューブの構成要素となり得る円筒型化合物とその関連化合物の構築を目指した研究を行った。構成要素としてペンタセンキノンを用いた系では、クラウンエーテルとアルカリ金属イオンとの錯形成を利用した大環状自己集合錯体の構築を行った。ペンタセンキノンに二つの15-クラウン-5部位を導入した分子を合成し、これとカリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンを錯形成させたところ、大環状の2:2型錯体が定量的に生成した。すなわち、扁平なチューブの構成要素となる大環状構造を簡単な手法で効率的に得ることに成功した。さらに、チューブの三つ又分岐部に相当する構造の構成要素となり得るカゴ型メタロホスト分子の合成を行い、その特異なゲスト認識能を明らかにした。
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