公募研究
銀ナノ粒子を酸化チタンに接触させると、プラズモン共鳴によってプラズモン誘起電荷分離が起こり、銀ナノ粒子が酸化・溶解する。これにより、スペクトルディップが形成され、多色フォトクロミズムや赤外フォトクロミズムが可能となるが、室内光下に放置すると、全ての粒子が酸化され、脱色する。昨年度は、銀を金に置き換え、配位子の作用を利用して金ナノ粒子での多色フォトクロミズムを可能にした。本年度は別のアプローチとして、銀ナノ粒子を疎水性配位子で保護し、ディップに基づくセンサを安定化した。さらに保護層にビオチンを固定化して、ストレプトアビジンの検出を可能にした。また、昨年度行った単一銀ナノ粒子による多色変化を、配位子としてチオシアン酸イオンを用いることで、単一金ナノ粒子でも可能にした。金属クラスターについては、我々はこれまで、グルタチオンを配位子とする金クラスターを酸化チタンに担持することで、金クラスターが光増感色素と同様に働き、光電変換や光触媒などに使えることを示してきた。本年度は、グルタチオンを配位子とする銀クラスターを用いた場合にも同様の効果が得られることを明らかにした。銀クラスターのHOMOにある電子がLUMOへと励起され、酸化チタンの伝導帯に注入されることに基づく。適当な電子ドナーを加えておくことで電子がドナーからHOMOへと供給され、電荷分離が完結する。加えて、酸化チタン上の銀クラスターを光によりエッチングする方法も開発した。酸化チタン上の銀クラスターに光照射する際に、溶液中に電子ドナーを存在させなければ、クラスターに電子が供給されないため、クラスターに残った正電荷により、銀が銀イオンへと酸化される。その結果、銀クラスターのサイズは小さくなる。クラスターのHOMO-LUMOギャップは一般に、クラスターサイズが小さくなるほど大きくなり、結果、光吸収端は短波長側へとシフトする。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.iis.u-tokyo.ac.jp/~tatsuma/