研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
24108732
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
酒井 健 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30235105)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 光分子デバイス / 水の可視光分解 / コバルトポルフィリン錯体 / 酸素発生触媒 / 水の酸化反応 / 分子触媒 / 水溶性錯体 / 動的光散乱法 |
研究実績の概要 |
本研究では、光酸素発生デバイスの構築と光機能界面への応用を目的としている。平成24年度には、光酸素発生システムの構築を目的とし研究を行った。具体的には、cobalt tetrakis(N-methylpyridinumyl)porphyrin、tetrakis(4-carboxyphenyl)porphyrin、 tetrakis(4-sulfophenyl)porphyrinそれぞれを配位子として有する3種の水溶性コバルト錯体(CoTMPyP、CoTCPP、CoTPPS)を合成し、[Ru(2,2'-bipyridine)3]2+を光増感剤とする光酸素発生触媒系における触媒機能の評価を行った。その結果、これら全ての錯体が酸素発生触媒として機能することが明らかとなった。次に、CoTPPSについて、その光酸素生成反応における酸素発生量のpH依存性を調べたところ、pH = 8~12の領域ではpH = 11 において最も高い活性を持つことを見出した。そのpH = 11の条件において、TON = 171(30 min)、TOF = 0.19 s-1という結果が得られた。これらの結果から、CoTPPSは均一系光酸素発生触媒として、高い活性を示すことが判明した。また、これら全ての錯体について、光触媒反応溶液中におけるCoOx生成の有無を検証するために、DLS法を用い散乱強度の変化を測定した。結果、比較化合物として[Co(2,2'-bipyridine)3]2+を用いた場合は散乱強度が大きく増加し、CoOxの生成が示唆されたのに対し、コバルトポルフィリン錯体については触媒反応中の散乱強度の変化が観測されなかった。これより、コバルトポルフィリン錯体は、触媒反応中にCoOxを生成することなく分子性触媒として作用していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は、当初は予定していなかった、触媒回転数の非常に大きい酸素生成触媒を見出し更にその安定性の評価に成功するなど、当初の研究計画で予測していた以上の優れた結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は当初の計画以上に進展しているが、平成25年度に予定していた光酸素発生デバイスの実証試験には至っておらず、平成25年度は当初の計画通り光酸素発生デバイスの機能評価を行う。
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