研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
24108733
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
速水 真也 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (30321912)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ソフトマテリアル / 柔軟性金属錯体 / 金属錯体液晶 / 強誘電性 / スピン転移 / 混合原子価 |
研究実績の概要 |
機能性金属錯体であるスピンクロスオーバー錯体および混合原子価錯体を基にして長鎖アルキル鎖などを付加させることにより液晶化を行い、強誘電性金属錯体液晶の材料開発を行い、金属錯体液晶における強誘電性発現の設計指針を見出すことに成功した。この設計指針を基にスピンクロスオーバーに伴った強誘電性金属錯体液晶の材料開発を行った。また混合原子価錯体は、分子内に価数の異なる金属イオンが配位した多核金属錯体であり、この電子移動の速度は温度に依存しており、電子が多い金属イオンのサイトがドナーとして、少ない金属イオンのサイトがアクセプターとして作用するため、その電子移動の方向にダイポールが生成する。この混合原子価錯体を液晶化した金属錯体液晶は、電場に応答したダイポールの配向を制御することができれば強誘電性を示す金属錯体液晶の材料開発を行うことができる。通常、強誘電のオリジンは構造由来であるが、混合原子価状態の場合、電子移動に伴ったダイポールの発現機構であり、これまでとは異なった新たな強誘電性金属錯体液晶の開発を行うことに成功した。 ここで開発するスピンクロスオーバー錯体および混合原子価錯体をベースとした金属錯体液晶は、その強誘電性およびスイッチング機能について評価した。一般的に強誘電性液晶はSHG活性であるが、例えばスピンクロスオーバー錯体においては、スピン状態すなわち不対電子数の数が変化する。これらの電子配置の変化に応じて、SHGの変化を期待することができる。また混合原子価状態の場合には、電場に依存した混合原子価の電子状態が期待でき、SHGレスポンスのスイッチングを期待することができる。したがって、ここで開発する動的電子状態に基づいた強誘電性金属錯体液晶のSHGレスポンスを観測し、強誘電メモリとしての非破壊読み出しを評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は機能性金属錯体であるスピンクロスオーバー錯体および混合原子価錯体を基にして長鎖アルキル鎖などを付加させることにより液晶化を行い、強誘電性金属錯体液晶の材料開発を行い、ここで開発するスピンクロスオーバー錯体および混合原子価錯体をベースとした金属錯体液晶は、その強誘電性およびスイッチング機能について評価することを目的とした。本研究結果として、強誘電性の発現およびSHGの観測に成功しており、ほぼ目的を達成できたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
強誘電性金属錯体液晶における電場による情報の記憶に対する評価、強誘電性金属錯体液晶のスピン転移および電子移動に伴った非破壊的読み出しの評価および強誘電性金属錯体液晶の強誘電メモリとしての評価を終えているので、次のステップとしては、ナノサイズにパターニングされた分子デバイス作成およびその手法の確立を行うとともに、強誘電性金属錯体液晶を用いた高密度メモリデバイスの開発に道筋をつける。
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