研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
24108740
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
前田 大光 立命館大学, 薬学部, 准教授 (80388115)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | π共役系 / 金属配位 / 超分子集合体 / 構造制御 / ピロール誘導体 |
研究実績の概要 |
環状平面構造に起因する芳香族性、安定性、電子的・光学的特性を有するポルフィリンと対照的に、π共役系非環状型オリゴピロール誘導体はピロール環の特徴(窒素部位の相互作用能およびπ共役系の平面性)を利用することによって、環状分子には見られない多様な金属錯化形態の発現、機能性電子マテリアルの創製が期待される。たとえば、ジピリンユニットがピロールα位間で直接連結した2量体ビジピリンは、ZnII架橋によって [2+2] 型二重らせん構造を構築することが知られているが、溶液中で容易にラセミ化する。そこでらせん構造の安定化(キラリティの保持)を目的として、メゾ芳香環部位を共有結合で架橋した誘導体を合成し、溶液中、エナンチオマー間で変換しない安定な二重らせん構造の形成が可能であることを明らかにした。このとき、UV/vis吸収およびCDスペクトルなどから架橋鎖長や温度に応じたらせんピッチの変化が確認され、2種類の安定な二重らせんモードの存在、およびスペクトルとらせん構造との相関を理論計算によって明らかにした(Chem. Sci. 2013)。一方、ジピリンのβ位を芳香環によって連結した直線状オリゴマーを合成し、ジオールホウ素架橋による多様な集合体形態(長方形型、三角柱型)の構築を見出した(Dalton Trans. revised)。また、ジピリンのメゾ位を鋭角スペーサーで連結した2量体からはポリゴン型金属錯体が形成することを明らかにした(CEJ in revision)。さらに、ジピリンのメゾ位を直接連結した2量体を合成し、ZnII架橋による配位ポリマーの創製に成功した(JPP 2013)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属錯化能を有する非環状型π共役系配位子の合成を行い、それをビルディングブロックとした多様な集合体の構築に成功しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も金属錯化能を有する非環状型π共役系配位子の合成を継続し、とくに機能性素子への展開を念頭においた物性(電荷輸送能など)の評価に焦点を当て、研究を推進したい。
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