研究領域 | 配位プログラミング ― 分子超構造体の科学と化学素子の創製 |
研究課題/領域番号 |
24108742
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
樋口 昌芳 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端的共通技術部門, グループリーダー (80306852)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 配位プログラム / メタロ超分子ポリマー |
研究実績の概要 |
【研究目的】配位結合を自在に操ることで、共有結合からなる材料にはない光・電子物性を持つ物質の創製が期待できる。所望の分子構造や機能を有する超分子の開発には、「配位ブログラミング」の概念導入が極めて有効と考えられる。本研究では、新たに有機モジュールを設計・合成することで、ユウロピウムイオン等の希土類金属イオンを主鎖に導入したメタロ超分子ポリマーを開発し、その発光特性を発現させるとともに、外部刺激による発光特性の可逆的制御を利用した新固体デバイスを開発する。
【平成24年度研究実績】:下記4項目に関する成果を得た。 (1)高い発光性を有するメタロ超分子ポリマーの開発、(2)発光性ポリマーフィルムの作製と評価、(3)外部刺激応答性の発光センシング材料の開発、(4)非対称の有機モジュールを用いたメタロ超分子ポリマーへの異種金属精密導入
【成果の内容】高い発光性を有するメタロ超分子ポリマーの開発を目的として、ユウロピウムイオンを導入したメタロ超分子ポリマーの開発を行った。新たに配位部位として酸素原子を含む有機モジュールを設計合成した。有機モジュールと金属イオンの1:1での錯形成挙動は、紫外可視吸収スペクトル測定におけるタイトレーションの実験から確認した。メタロ超分子ポリマーの溶液状態での蛍光測定を行い、その量子収率を求めた。このメタロ超分子ポリマーを溶液に溶解させ、スピンコート等によりポリマーフィルムを作製し、固体状態での発光特性(量子収率・発光波長)を蛍光スペクトル測定した。更に、非対称の有機モジュールを新たに設計・合成し、2種類の金属イオン(鉄イオンとユウロピウムイオン)と錯形成させることで、配位部位の構造と金属イオンの相性(配位数や錯形成定数の違い)に基づいた配位プログラミングにより、ポリマー主鎖に2種類の金属イオンが交互に導入されたメタロ超分子ポリマーを合成することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の研究計画で予定していた以下の研究項目の内、(1)から(4)の4項目を初年度で終了させたため。
(1)高い発光性を有するメタロ超分子ポリマーの開発、(2)発光性ポリマーフィルムの作製と評価、(3)外部刺激応答性の発光センシング材料の開発、(4)非対称の有機モジュールを用いたメタロ超分子ポリマーへの異種金属精密導入、(5)2種類の金属イオン間の電子相互作用の解明、(6)インテリジェント発光デバイスの発明
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、当初予定していた以下の研究項目の内、初年度未達成であった項目(5)と(6)を推進する。
(1)高い発光性を有するメタロ超分子ポリマーの開発、(2)発光性ポリマーフィルムの作製と評価、(3)外部刺激応答性の発光センシング材料の開発、(4)非対称の有機モジュールを用いたメタロ超分子ポリマーへの異種金属精密導入、(5)2種類の金属イオン間の電子相互作用の解明、(6)インテリジェント発光デバイスの発明
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