【研究目的】配位結合を自在に操ることで、共有結合からなる材料にはない光・電子物性を持つ物質の創製が期待できる。所望の分子構造や機能を有する超分子の開発には、「配位ブログラミング」の概念導入が極めて有効と考えられる。本研究では、新たに有機モジュールを設計・合成することで、ユウロピウムイオン等の希土類金属イオンを主鎖に導入したメタロ超分子ポリマーを開発し、その発光特性を発現させるとともに、外部刺激による発光特性の可逆的制御を利用した新固体デバイスを開発する。 【平成25年度研究実績】これまで、2種類の金属イオンが交互に導入されたメタロ超分子ポリマーを合成することに成功している。本年度は、本ポリマーにおける、(1)2種類の金属イオン間の電子相互作用の解明、及び(2)インテリジェント発光デバイスの発明を行った。更に、(3)亜鉛イオンを含むメタロ超分子ポリマーにおける発光色制御を実現した。 【成果の内容】(1)2種類の金属イオン間の電子相互作用の解明:鉄イオンとユウロピウムイオンの両方を含むメタロ超分子ポリマーにおいて、鉄イオンの価数の違いにより、ユウロピウムイオンからの発光強度が大きく変化することを発見した。(2)インテリジェント発光デバイスの発明:このポリマーフィルム中の鉄イオンを電気化学的に酸化還元することで、ユウロピウムイオンの発光を可逆的にスイッチングさせることに成功した。(3)亜鉛イオンを含むメタロ超分子ポリマーにおける発光色制御:ビス(ターピリジン)誘導体と亜鉛イオンを錯形成させることにより得られたメタロ超分子ポリマーは、配位子の置換基効果による大きなストークスシフトにより、青、シアン、緑色といった異なる発光色を示した。
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