研究領域 | シンクロ型LPSO構造の材料科学 ―次世代軽量構造材料への革新的展開― |
研究課題/領域番号 |
24109503
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒川 修 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90303859)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マグネシウム合金 / LPSO / 走査トンネル顕微鏡 |
研究実績の概要 |
本年度は,その詳細な構造が不明であったMg85-Zn6-Y9 18R LPSO相を,今回新たに導入した試料冷却・へき開装置にて,超高真空中でへき開を行い,STM(走査トンネル顕微鏡)で観察することに初めて成功した.観察の結果,これまでの研究によって提案されていた「ZnとYからなるクラスターが規則的に配列した構造」が基本となっていることが明確に確かめられた.またSTMによる観察によって材料内に局所的な構造が存在していることが初めて確かめられ,その構造の詳細を明らかにした.今回観察された局所的な構造の存在が従来の手法を用いた観察で必ずしも明確な結論が得られなかった原因であると考えられる.今回の我々の結果と,他の手法を用いて行われた観察の結果と合わせて,Mg85-Zn6-Y9 18R LPSO構造の詳細を明らかにすることができた.また,観察された構造が形成される前段階と思われる構造が存在していることも明らかにした.この結果はこの合金の構造がどのように形成されるのかを知る手がかりになると思われ,今後の結果が期待される.また,材料内部の局所的な電子状態計測にも一部成功した.この情報は,材料内部の元素間の結合の様子を知る手がかりになるものと期待される. 今回の研究では,これまで表面の観察手法として知られてきたSTMを,バルク試料の内部の評価に使用する可能性を示せた.ただし,一般の材料への応用には試料表面の作製手法の問題があるため,これを克服する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画においてはH24年度はLPSO相のへき開面を得るための装置設計・条件探索までを行うことになっていたが,実際には一部H25年度の目的であるLPSO相の原子分解能観察まで実現した.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度はH24年度までに確立した手法を用いることで,組成,構成元素・加工履歴の異なるLPSO相の原子構造観察を行い,試料内部の特徴的な構造である遷移金属,レアアースクラスターがどのように形成されるかを明らかにする.
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