平成24年度に進めていた動的再結晶モデルの成果を整理し,2編の論文を執筆し掲載された.本年度は,LPSO型マグネシウム合金の二つの強化機構のうち,キンクバンド形成に関する研究を行った.本年度前半においては,個々の転位のダイナミクスを取り扱うことができるフェーズフィールド転位動力学モデルを導出し,2次元1すべり系問題に対するプログラミングを行った.ここで,フェーズフィールド方程式は差分法を用い,応力場の評価には有限要素法を用い離散化を行った.年度後半においては,前半に作成したフェーズフィールド転位動力学法のプログラムを用いることで,LPSO型マグネシウム合金の実験で観察されているLPSO相のキンク変形における「くさび形」キンク変形に対応する転位配列が生み出す応力場の評価を行った.この結果,くさび形配列の種類によって,くさび先端部の応力集中の仕方が異なり,キンク変形が生じる過程が異なることを示唆する結果を出した.
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