研究概要 |
我々は脳幹部神経核・小脳に特異的なPNNを部位特異的に形成障害するモデルとして、Bral2欠損マウスを用いて、PNN形成メカニズムの解析を行った。本モデルは、糖鎖合成や糖鎖ドメインの合成不全を起こすものではないが、本来ヒアルロン酸に依存してPG等が高密度に・秩序よく会合すべきPNNがdiffuseになる特徴をもつ(Bekku et al., J Comp Neurol 2012)。 Bral2が制御するPNNは聴覚神経系神経核に顕著な発現を示すこと、そのなかでも巨大神経終末を持つ内側台形体核(MNTB)に焦点を絞り研究を行った。 野生型マウスの内側台形体核(MNTB)においてaggrecanとbrevicanは分離独立(住み分け)した発現をしており、Bral2欠損マウスではbrevicanはaggrecanと共局在した。シナプス周囲・間隙近傍に存在するaggrecanとbrevicanの局所における「住み分け」を規定するのはLPであるBral2とCrtl1とのaffinityの差によると考え、ヒアルロン酸結合ドメイン(G1)のリコンビナントタンパク発現を行った。また、MNTBは聴覚系神経回路の代表的神経核であるので、上記PNN変化が聴覚機能にどの程度影響を与えているかについて、チェコ共和国Syka教授との国際共同研究を行い、聴力の低下を認めている。今後、このECMの変化が聴力低下をもたらすメカニズム解明を行う。
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