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2012 年度 実績報告書

神経近位部特異的に局在する糖鎖の構造と軸索区画化における機能の解明

公募研究

研究領域統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明
研究課題/領域番号 24110515
研究機関創価大学

研究代表者

西原 祥子  創価大学, 工学部, 教授 (00164575)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード糖鎖 / ショウジョウバエ / 神経 / 軸索 / 近位部 / 局在 / BP102
研究実績の概要

糖鎖は、細胞が司るあらゆる生命現象で機能している。その機能の発現には、糖鎖に結合するレクチン分子が重要で、細胞内では、レクチンが、細胞外へ輸送するタンパク質の品質管理や細胞内輸送に働いている。一方、モノクロナール抗体BP102はショウジョウバエの中枢神経を特異的に染色する。その抗原の構造は明らかにされていないが、BP102抗原がショウジョウバエ神経細胞の初代培養で軸索の近位部に自立的に局在することが報告されていた。予備的に過ヨウ素酸酸化を行うとBP102抗原の抗原性が消失し、BP102抗原が糖鎖を含むことが明らかになったため、本研究では、糖鎖の軸索区画化における関与を明らかにすることを目的とした。本年度は、(1)β脱離反能による抗原性の低下、(2)各種糖鎖分解酵素に対する抗原の感受性、(3)複数種の糖転移酵素変異体における抗原性の低下から、BP102抗原がO-結合糖鎖を含むことを明らかにした。さらに、BP102抗原が、複数のタンパク質上に存在することも明らかにした。これらの結果は、本抗原糖鎖を持つタンパク質が、何らかの機構により軸索の近位部に局在することを示していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、ショウジョウバエ神経細胞の軸索近位部に局在するBP102抗原がO-結合糖鎖を含むことや,同抗原が複数のタンパク質上に存在することを明らかにした。これらの結果は、本抗原糖鎖を持つタンパク質が、特異的に軸索の近位部に局在することを示していた。さらに、本抗原糖鎖を合成する糖転移酵素も同定しており、今後の変異体を用いたコアタンパク質の解析に道筋をつけた。

今後の研究の推進方策

本研究では、「神経軸索近位部特異的に局在する糖鎖の構造と軸索区画化における機能の解明」を、(1)BP102抗原の糖鎖構造の決定と合成酵素変異体の解析、(2)BP102抗原糖鎖構造による軸索近部への局在化機構の解明の2つの観点から解析する。
次年度は、①神経特異的モノクロナール抗体BP102で認識される糖鎖構造を確定する。具体的には、本年度に精製したBP102で認識される糖鎖構造を持つ糖タンパク質から、糖鎖を切り出し、質量分析装置により糖鎖構造を確定する。併せて、②本年度に決定したBP102抗原を持つコアタンパク質が、軸索近位部へ局在することを確認する。具体的には、軸索形成前のショウジョウバエ胚からの神経初代培養細胞を、コアタンパク質に対する抗体を用いて染色し、コアタンパク質とBP102抗原が軸索近位部に共局在することを確認する。次いで、③本年度決定したBP102抗原構造を合成する糖転移酵素の変異体やノックダウン体における解析を行う。具体的には、まず、変異体、あるいは、ノックダウン体の神経初代培養細胞を作製し、本年度に決定したコアタンパク質の軸索における局在を検討する。併せて、神経細胞の形態、軸索形成、行動等に異常が現れるか表現型の解析も行う。さらに、BP102抗原構造に結合するレクチンの決定とその変異体を用いた解析も行う。
以上の解析を通じて、軸索近位部に局在する糖タンパク質の機能とその輸送機構を明らかにする。

「連携研究者」創価大学工学部 不破尚志 (ショウジョウバエの表現型の解析)、中嶋一行 (初代培養)。北海道大学先端生命科学研究科 篠原康郎 (糖鎖構造解析)。帝京大学医療技術学部 小松明 (電気生理)。杏林大学医学部 秋元義弘 (電子顕微鏡)。「研究協力者」創価大学工学部 木下貴明 (BP102抗原の解析)、伊藤和義 (ショウジョウバエの表現型の解析)。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 糖鎖異常に起因する疾患のショウジョウバエモデルを用いた解析: 筋ジストロフィー2012

    • 著者名/発表者名
      西原祥子
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-11 – 2012-12-14
    • 招待講演

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公開日: 2018-02-02  

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