公募研究
プロテオグリカン(PG)の糖鎖合成酵素遺伝子についての従来の検討から、ニューロパチーの一部にChGn-1遺伝子にアミノ酸置換および酵素活性の低下を伴う変異がみられることを見出していた。今年度ChSy-1遺伝子にも同様の変異がみられる症例を見出し、コンドロイチン硫酸の糖鎖構造に変化をきたすことがニューロパチーの病態に関連する可能性が示唆された。PGの糖鎖合成酵素であるC6ST-1のノックアウトマウスでは、myelin-oligodendrocyte glycoprotein (MOG)の感作による実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)が重症化する。ノックアウトマウスに野生型で感作したリンパ球を受身移入すると、同じリンパ球を野生型マウスに受身移入する場合よりも重症化がみられた。リンパ球の感作には同酵素の有無は影響を与えなかった。同酵素のトランスジェニックマウスでは軽症化がみられた。この結果は、コンドロイチン硫酸の6位の硫酸基が正常に存在するかどうかでEAEの重症度が異なることを示しており、糖鎖の改変が免疫性神経疾患の治療に応用できる可能性が示唆された。Galactocerebroside(Gal-C)はミエリンの主要な糖脂質であり、Gal-Cに対する抗体は脱髄因子であることが動物実験で示されている。ヒトのギラン・バレー症候群(GBS)では、マイコプラズマ肺炎後の症例で抗Gal-C抗体陽性例が多いこと、肺炎マイコプラズマ菌体にはGal-C様糖鎖があり抗体産生は分子相同性機序によると考えられることなどが報告されていたが、多数例の解析は行われていなかった。今回抗Gal-C抗体陽性GBSの47例の解析により、同抗体陽性例は脱髄型GBSが多いことが確認され、感覚障害と自律神経障害を伴うことが多いことが明らかとなった。実験的自己免疫性ニューロパチー(EAN)では、脊髄にミクログリアが増え、ミクログリアにおけるケラタン硫酸(KS)の発現が消失することがわかった。EANの病態とKSの関連についてはさらに検討が必要と考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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