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2012 年度 実績報告書

新規グルコース化脂質分子による神経ガイダンス制御

公募研究

研究領域統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明
研究課題/領域番号 24110519
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

平林 義雄  独立行政法人理化学研究所, 神経膜機能研究チーム, チームリーダー (90106435)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード軸索ガイダンス / 反発因子 / 脂質ラフト / リゾ糖リン脂質 / GPRC受容体 / 感覚神経 / 放射状グリア
研究実績の概要

放射状グリアに強発現している新奇糖脂質PtdGlcがどのような機構で合成され、更にその合成遺伝子を特定することが、糖鎖生物学の立場からは極めて重要である。私達は、PtdGlc生合成酵素が小胞体に局在し、UDP-グルコースをグルコース供与体、基質は直鎖脂肪酸を有したホスファチジン酸である可能性を明らかにしてきた。天然型基質の代わりとしてピレン基(蛍光発色)を導入した合成基質簡便なアッセイ系を確立した。しかし、合成基質は不安定で長期的な保存が難しい事が判明し、現在、天然型基質(ホスファチジン酸)を化学合成し、ABSciex4500質量分析計にて酵素反応生成物を高感度に定性・定量分析する方法を開発中である。また、PtdGlcおよびそのリゾ体の定量用の内部標準物質としての糖脂質誘導体を化学合成した。PtdGlc生合成酵素遺伝子のノックアウトマウスの作製は順調に進んでおり、生殖系列キメラマウスを同定した。

PtdGlcリゾ体は、微量で神経軸索伸長方向を負に制御する生理活性を有する。この反発移動の分子メカニズム解明を試み、Gpr55がPtdGlcリゾ体の受容体であることを同定した。PtdGlcのリゾ体は、イノシトール脂質よりも低濃度でGpr55を活性化し、カルシウム要求性、PTXに感受性であった。また、種々のリゾ体糖脂質を合成しリガンド活性を検討したところ、ガラクトース、マンノースに置き換えたリゾ糖脂質では活性は無いかあるいは極めて低く、グルコースに極めて特異的であった。放射状グリアに存在する6-O-アセチル化リゾ体糖脂質は、アゴニスト活性を有していた。

Gpr55ノックアウトマウスを用いて、行動異常など検討したが、際だった異常は認められなかった。遺伝的背景を考慮し、現在、戻し交配中であり、129系統からB6系統に移行後、行動解析を再び行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

グルコース転移酵素として当初計画していたピレン基(蛍光発色)を導入した合成基質は不安定で長期的な保存が難しい事が判明し、計画に遅れが出てしまった。現在、天然型基質(ホスファチジン酸)を化学合成し、ABSciex4500質量分析計にて酵素反応生成物を高感度に定性・定量分析する方法を開発中である。PtdGlc生合成に関与するグルコース酵素遺伝子のノックアウトマウスの作製は順調に進んでおり、生殖系列キメラマウスを同定した。

PtdGlcリゾ体に対する様々な誘導体を合成することによりGPCR受容体の特異性を決定する事が出来た。放射状グリアに存在する6-O-アセチル化リゾ体糖脂質は、アゴニスト活性を有しているという予想外の結果も得られた。Gpr55ノックアウトマウスでは、際だった異常は認められないという残念な結果であった。

今後の研究の推進方策

本プロジェクトの推進にあたり、当初の方針に大きな狂いは無い。
軸索ガイダンスに関しては理研脳センターとの、化学合成に関しては理研内部での共同研究を継続して行う。同時に、自室内に設置した質量分析装置の活用に全力を挙げる。特に新奇糖脂質とその代謝産物の超高感度解析法を用いて、アルツハイマー病を初めてする神経変性疾患モデルマウスの脳内での質的・量的な変動解析を進め、本糖脂質の各種疾患への関与を明らかにしていく。
PtdGlcの代謝産物としてグルコースの6位がアセチル化された糖脂質が存在している。このリゾ体は、内在性アンタゴニスト活性を有していることを見出しており、糖のアセチル化修飾は生理学的に重要であることが分かってきた。アセチル化糖脂質に対するモノクローナル抗体を作成し、抗体によるアセチル化酵素遺伝子のクローニングという新たな課題にチャレンジしたい。
グルコース転移酵素のノックアウトマウスは作製過程に有り、本研究課題による継続したサポートは必須である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] A novel bioactive lipid, phosphatidylglucoside: from structure to functions in the developing brain2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshio HIrabayashi
    • 学会等名
      Gordon Research Conferences, Glycolipid Sphingolipid Biology
    • 発表場所
      Lucca(Barga), Iraly
    • 年月日
      2012-04-22 – 2012-04-27
    • 招待講演

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公開日: 2018-02-02  

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