研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
24110702
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
島田 敏宏 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10262148)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマ / ナノ界面 / 有機半導体 / 炭素固体 / C60 / ペリレン誘導体 / フタロシアニン / ラマン分光 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)構造が原子レベルで定義されたナノ物質である有機半導体分子とプラズマの相互作用を解明することと、(2)プラズマを利用して有機半導体分子から新しい炭素固体を作ることにある。実験としては、(1)については微量の窒素ガスと石英管に真空封入した有機半導体分子にマイクロ波を照射して表面波プラズマを励起し、発光スペクトルの時間変化により起こっている反応を解析した。また生成物のラマンスペクトルを測定することにより、分子骨格と官能基の変化について調べた。その結果、OやNが存在すると分子の分解が進みやすいこと、分子骨格については小さい縮合環は破壊されにくいことなどが明らかになった。(2)については、メタンガス中で炭素ターゲットをスパッタすることにより炭素プラズマを生成し、同時に有機分子を負電位に保った基板に蒸着することによりダイヤモンドライクカーボンの中に有機分子を埋め込んだ物質を作成した。これまでのところ、C60、ペリレンジカルボン酸無水物、銅フタロシアニンについて実験を行った。得られた固体薄膜は原料分子と異なる光吸収、蛍光発光を示し、分子によっては鋭いラマンスペクトルを示す固体が得られた。原料を選べば分子の骨格構造を部分的に維持した「構造がよく定義された固体」を作成できることが明らかになった。光物性のほかに電気伝導特性、触媒活性についても調べている。今後の課題は、モデル構造のラマンスペクトルの計算と実験結果を照合することにより、原子レベルでの構造を明らかにすることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メタンガスを用いたプラズマプロセスによりダイヤモンドライクカーボンを作製する装置を製作し、同時に有機半導体分子を蒸着することにより分子を取り込んだダイヤモンドライクカーボンを作ることができるようになったため。今年度の結果で国際会議発表1件、および査読付き論文1報を出版した。
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今後の研究の推進方策 |
様々な有機半導体分子を用いたプラズマプロセスにより、分子ドープダイヤモンドライクカーボンの合成を行い、ラマン分光・蛍光・光吸収などにより構造を評価することによってプラズマと分子のナノ界面相互作用を明らかにする。また、結晶性の高いダイヤモンドをプラズマCVDで作成する際に分子を取り込むことができるかどうかを調べる。
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