研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
24110705
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
加藤 有行 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (10303190)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | プラズマ / 光物性 / ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
水溶液中に分散させた蛍光体微粒子をプローブとして,大気圧プラズマ照射による水溶液中での化学プロセスを観測することを目的とし,大気圧プラズマ発生装置の製作と生成ラジカルの分光による評価,蛍光体微粒子の合成とプラズマ照射による還元反応の観測を試みた.大気圧プラズマ発生装置においては,キャリアガス導入部と電極を一体化することにより,Ar,Ar+H2(3%),He,He+H2(3%)の4種のガスを用いて大気圧室温下で安定してプラズマを生成することに成功した.Arガスを用いて水面にプラズマを照射した場合,放電が水中へ進展することが観測され,分光測定により水中部からのOHラジカルによる発光強度の相対比が大きくなることがわかった.プローブとして用いる蛍光体としてKSrPO4:Euをクエン酸錯体重合法により合成した.合成した蛍光体微粒子を水に分散させ,大気圧プラズマを照射したところ,Eu2+による発光が照射時間とともに増大し,KSrPO4:Eu中のEuが3価から2価に還元されていることがわかった.また,キャリアガスに水素を導入することでEu2+による発光が増大することがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大気圧プラズマ照射による水溶液中の還元反応の観測そのものには成功しているので,おおむね順調であるといえる.しかし,まだ定性的な評価の段階にとどまっており,蛍光体粒子をプローブとして用いることの利点として挙げられる時間・空間分解測定のような定量的な評価はまだ達成できていない.また,プローブとしての感度を高めるための粒子のナノサイズ化についても着手した段階であるため,これらが今後の課題として挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
プラズマ分光測定の結果との対応からOHラジカルが還元反応に寄与している可能性があるが,対応をはっきりさせるため,テレフタル酸を用いたOHラジカルの生成量の定量的な評価をしていく予定である.また,蛍光体をプローブとして用いることを生かしてin-situの時間・空間分解測定を,また逆ミセル法により蛍光体粒子をナノサイズ化し,比表面積を大きくすることでプローブとしての感度を高めることを次年度の目標としたい.
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