研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
24110718
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
八ツ橋 知幸 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70305613)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | フェムト秒レーザー / プラズマフィラメント / ナノ粒子 / 親水性・疎水性 / ナノ界面 / 2液相反応 / 逐次酸化反応 |
研究実績の概要 |
本研究は液-液界面界面に発生させたプラズマによる有機化合物の高効率反応の開発を行うことを目的とし、ベンゼン/水二層溶液の水相にフェムト秒レーザーを照射することで、単一溶媒に比べて遙かに効率よく、10 nm以下の親水性炭素ナノ粒子を生成することに成功した。酸素除去効果、過酸化水素の定量結果、そしてGC-MSによる反応生成物の同定により、水分解で生じる酸素と水のイオン化で生じる水和電子から生じるスーパーオキシドと過酸化水素が界面付近で反応して生じる水酸化ラジカルがベンゼンを攻撃し、逐次酸化反応によりナノ粒子を発生させたと結論した。 さらに炭素ナノ粒子の表面修飾、そして組成を制御することを試みた。前者は2相を形成してからレーザーを照射するまでの時間により親水性・疎水性粒子のつくりわけに成功した。2相を形成後すぐにレーザー照射を行うと親水性粒子が生成し、一昼夜静置した後に照射すると疎水性粒子が生成することがわかった。これはベンゼン・水の相互溶解性に起因することを推測し、詳細を検討している。また、本手法ではベンゼンを他の有機分子で置き換えることで組成制御が可能である。ナノ粒子のフッ素化を狙ってベンゼン(C6H6)の代わりにヘキサフルオロベンゼン(C6F6)を用いて実験を行った。ベンゼンと比重が異なるため、ヘキサフルオロベンゼン相は水の下層となる。水相にレーザーを照射することでベンゼンと同様、水相にナノ粒子が生成した。赤外吸収スペクトルの測定によりCF結合およびOH結合の存在が確認できた。現在官能基の特定のために必要な顕微ラマン分光装置を構築中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度は本研究の目的に掲げた1.液液界面特異的な化学反応が起きること、2.照射方法により反応の制御が可能であること(界面からの距離に依存した生成物分布制御)を達成した。特に親水・疎水性ナノ粒子の作り分けを簡単な方法で達成した。3.の2、あるいは3液相の組み合わせにより多様な反応誘起が可能であることを示すことに関しては種々の2液相を試みナノ粒子の組成制御に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
ナノ粒子の新規生成法についてさらに、表面修飾、そして組成制御法を発展させる。種々の有機/水の組み合わせを試みると共に、ナノ粒子の官能基の特定のために24年度から製作を開始した顕微ラマン分光装置を完成、活用して生成したナノ粒子の組成を明らかにする。また、現段階では単一のレーザー照射条件でしか実験が行われていないため、レーザー照射のパラメーターにナノ粒子の形態や組成が実験条件にどう依存するかを明らかにする。
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