研究領域 | プラズマとナノ界面の相互作用に関する学術基盤の創成 |
研究課題/領域番号 |
24110720
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
佐々木 実 豊田工業大学, 工学部, 教授 (70282100)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | シート状反応性プラズマ / ガス界面 / Y形合流路 / 層流 / マイクロ流路 |
研究実績の概要 |
マイクロ流路内にて大気圧プラズマを形成できる。内部を流れる流体は、代表長さが小さくなり、層流となり易い。Y形合流路を組み合わせる。大気圧プラズマを発生する放電ガスと基底状態の反応ガスの2種を導入する。両者の界面では、放電ガスが反応ガスと接して励起させるため反応性プラズマが生成されること、さらに層流を維持するためプラズマ領域はシート状になることが予想される。界面はガスの平均自由行程(大気圧で多くのガスは100nm以下)レベルになると考えられる。このシート状反応性プラズマは、ガス同士の界面の観察に適する。加えて、乱流の乱れが入り込まない、流れの規則性を反映したプラズマの利用が可能なことを意味する。これはオープンなスペースにガスを吹き付けることが多い、現状の大気圧プラズマ応用とは異なった条件を実現するものである。プラズマ照射量の高精度なコントロールを可能にすることに通じる。 安定動作するMEMSプラズマ源を見出した上で、2種のガスが合流するY形合流路をプラズマ源に組み込んだ。Heガスをプラズマ励起し、大気中のO2ガスを励起する条件にて、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜のエッチングを行った。入力パワー80Wにて30s間プラズマを点灯した。明るいプラズマ領域付近のDLCが取り除かれていることに加えて、ガス合流部にも変化が生じた。DLC表面形状の変化を白色干渉計(Zygo社 NewView7300)で測定すると、明るい領域ではなかったガス合流部において、DLC膜は局所的に減少していた。陥没した境界は鋭い段差を示し、Heガスの流れに沿って反応性の酸素プラズマが励起されたと判断される。比較として、マイクロ流路出口の大気解放部分近くでプラズマ点灯した場合、乱流条件になると考えられる。実際、DLC膜のエッチング跡は、膜厚変化が微視的なまだら模様を示し、ランダムなエッチングが入った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単一ガスを利用してマイクロプラズマを点灯させる技術を蓄積はしていたが、新規デバイスを設計・製作して研究に取り組んだ。Y形合流路を持つプラズマ源の中で安定したプラズマ点灯を実現し、2流体の界面にて反応性プラズマが形成されていること、その特徴がマイクロ流路出口の大気解放部分近くでプラズマ点灯した場合とはっきりことなることを観察した。荒削りながら、研究の本質的な部分を1年で確認できることができたと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2つの気流の界面を直接光学観察する手段を導入して、なおかつナノ界面プラズマに関する実験を検討する。ガスが異なると僅かながら屈折率差が生じるが、この観察にはシュリーレン法が有効である。現在利用している光学系であっても、適切なフィルタを加えることができるので試していく。合わせてH24年度に見出したプラズマ点灯を効率良く実現する方法を積極的に導入していく。
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