公募研究
多系統萎縮症の新たな画像検査法としてBF-227 PETの臨床応用可能性をさらに詳細に検討した。まず特異性と感度を明らかとするために対象症例を増やしてデータの蓄積を図り、MRIやその他の画像所見とも比較・検討、病期による経年変化検討した。多系統萎縮症は主にパーキンソニズムを主とする群(MSA-P)と小脳失調を主とする群(MSA-C)に分類されるが、こうした臨床症候による違い、さらに各臨床症候(錐体路症候、パーキンソニズム、小脳失調、自律神経障害など)の重症度と脳部位別に見たBF-227結合性の分布との関連性も検討した。結果として病期の進行に伴ない多系統萎縮症に於けるシヌクレインの沈着は初期に増加し、中期以降には徐々に低下する可能性が示唆された。しかし少なくともこれまでのところ、MSA-PとMSA-C間での相違は明らかとなっていない。今後さらに症例数を蓄積するとともに種々の臨床型や臨床徴候との比較を通して、BF-227により検出されるシヌクレイン沈着様式との関連を検討して行く予定である。また同じシヌクレイノパチーであるパーキンソン病について症例をエントリーしBF-227によるPET画像の検討を開始した。この結果、パーキンソン病に於けるシヌクレイン沈着様式に大きく2つのパターンがある可能性を示唆するデータを蓄積しつつある。一つは陽性シグナルがほとんど検出できない群であり、もう一方は辺縁系を中心に陽性シグナルが得られる群である。この両者について今のところ明らかな臨床像の違いを検出できていないが、症例数をさらに蓄積するとともに経年変化をフォローすることで、これらの画像所見差の意味を検討して行く予定である。
2: おおむね順調に進展している
多系統萎縮症に於けるシヌクレイン沈着の病期に依る時系列的変化を示唆する所見が得られつつある。またパーキンソン病に於けるBF-227イメージングの画像データが得られつつある。
多系統萎縮症についてはこれまでエントリーして来た症例の経年変化を追うとともに、さらに初期例のエントリーを増やし、病期・病型とシヌクレイン沈着パターンの解析を進める。またパーキンソン病に於けるシヌクレイン沈着様式を解明するためさらに様々な病期の症例をエントリーしてBF-227 PETによる脳画像解析を進める。
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