公募研究
PET用核種標識化合物である62Cu-ATSMよって,ミトコンドリア呼吸鎖不全による過還元状態が惹起する活性酸素種の発生増加(酸化ストレス)を生体にて画像化することを可能にした.孤発性パーキンソン病(PD)患者において,62Cu-ATSM PETでの脳線条体での集積増加と,集積と臨床的重症度に正の相関関係を報告している.平成25年度は,PD関連神経変性疾患と筋萎縮性側索硬化症(ALS)での酸化ストレスの関与を検討した.現在までに,①多系統萎縮症(MSA)患者9名と②ALS患者12名(年齢平均65.2歳,罹病平均期間25.8月,重症度スケールALSFRS-R平均30.9/48点),③Parkin遺伝子変異を有する家族性PD患者2名と家族性PD患者2名(順天堂大学脳神経内科との共同研究)を検討した.その結果,①MSA患者群では今のところ明らかな集積増加は認められず,PD患者との差は見出されなかった.②ALS患者群では,両側大脳皮質運動野に集積の有意な増加傾向が認められ(p<0.001),臨床重症度との相関(p<0.05),加齢との正の相関(p<0.05)が認められ,酸化ストレスの病態への関与が認められた.また,③Parkin遺伝子変異を有する家族性PD患者では,線条体への集積を認めた.また,脳神経疾患における酸化ストレスの基礎研究として,ミトコンドリア病患者の血中の酸化ストレスの検討を行った.ミトコンドリア病の原因となるミトコンドリア遺伝子A3243G変異を有する患者14名と,健常者34名に対し採血を行い,d-ROMsによる酸化ストレスと,BAPによる抗酸化力の測定を行った.その結果,d-ROMsは,健常者群に比べて患者群で有意に増加していた(P<0.005).
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neurology
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